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既知最古の動物のベールを取り払う

クラゲ(写真)やサンゴなどの刺胞動物の祖先生物がどのようなものであったか、化石記録が不足しているために明らかではなかった。 Credit: iStock / Getty Images Plus / SAND555 / Getty

クラゲやサンゴなどの刺胞動物の既知で最古の祖先は、エディアカラ紀(6億3500万~5億3900万年前)には既に出現していたと考えられているが、この時代の化石標本は不足していて議論も多く、その起源や初期進化はまだ明らかになっていない。このほど、オックスフォード大学(英国)の古生物学者Frances S. Dunnらは、英国「チャーンウッドの森(Charnwood Forest)」でエディアカラ紀の新種の刺胞動物の化石を発見し、Nature Ecology & Evolution 2022年8月号で報告した1。同国の著名な博物学者デイビッド・アッテンボロー卿(Sir David Attenborough)に敬意を表して「アウロラルミナ・アッテンボロギ(Auroralumina attenboroughii)」と命名されたこの動物は、エディアカラ紀の他の生物とはボディープランが大きく異なり、その構造はむしろ、後の「カンブリア爆発」以降に出現した生物のものによく似ていた。今回の発見は、少なくとも刺胞動物の一部に関しては、現生動物の進化と多様化の基盤となった事象であるカンブリア爆発のはるか前に、そのボディープランが既に確立されていたことを示唆している。

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翻訳:小林盛方

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 12

DOI: 10.1038/ndigest.2022.221238

原文

Lifting the veil on the oldest-known animals
  • Nature (2022-09-29) | DOI: 10.1038/d41586-022-02893-4
  • Marc Laflamme
  • Marc Laflammeはトロント大学(カナダ)に所属。

参考文献

  1. Dunn, F. S. et al. Nature Ecol. Evol. 6, 1095–1104 (2022).
  2. Evans, S. D., Gehling, J. G. & Droser, M. L. Geobiology 17, 490–509 (2019).
  3. Turk, K. A., Maloney, K. M., Laflamme, M. & Darroch, S. A. F. J. Paleontol. 96, 753–769 (2022).
  4. Dunn, F. S., Liu, A. G. & Donoghue, P. C. J. Biol. Rev. 93, 914–932 (2017).
  5. Bobrovskiy, I. et al. Science 361, 1246–1249 (2018).
  6. Ford, T. D. Proc. Yorks. Geol. Soc. 31, 211–217 (1958).