最初期のヒト族は二足歩行も木登りも
サヘラントロプスが行っていた運動様式のイメージ。二足歩行は地上だけでなく、樹上でも行われていたとみられる。 Credit: Sabine Riffaut, Guillaume Daver, Franck Guy / Palevoprim / CNRS – Université de Poitiers
1000万～600万年前のどこかでヒトの系統をチンパンジーから分岐させたものは何だったのだろうか？ヒト族の種の起源を研究した最初の科学者たちは、脳の大型化がヒトの進化を推進させたのではないかと考えた。しかし、最初期のヒト族（チンパンジーではなくヒトに近縁の種）を分けた最初の特徴として、アフリカで発見されている約100年分の化石から分かるのは、2本足で歩く能力（二足歩行性）と共に、チンパンジーと比較して食物の質がわずかに劣っていたことだ1。とはいえ、最初期のヒト族とその進化の理由については、多くが謎のまま残されている。ヒトとチンパンジーとの最終共通祖先は、チンパンジーに似ていたのか？ ギボン（テナガザル）、あるいは尾の長いサルに似ていたのか？ それとも、全く異なる別の動物に近かったのか？ さらに、二足歩行性の進化はヒトとチンパンジーが分岐する前だったのか、途中だったのか、それとも後だったのか？ Nature 2022年9月1日号の94ページでは、そうした問題のいくつかを解決する一助となる化石証拠を、ポワティエ大学およびCNRS（いずれもフランス）の霊長類学者Guillaume DaverとFranck Guyらが発表している2。
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翻訳：小林盛方
原文
Standing up for the earliest bipedal hominins- Nature (2022-09-01) | DOI: 10.1038/d41586-022-02226-5
- Daniel E. Lieberman
- Daniel E. Liebermanはハーバード大学（米国マサチューセッツ州ケンブリッジ）に所属。
参考文献
- Pilbeam, D. R. & Lieberman, D. E. in Chimpanzees and Human Evolution (eds Muller, M. N., Wrangham, R. W. & Pilbeam, D. R.) 22–141 (Belknap, 2017).
- Daver, G. et al. Nature 609, 94–100 (2022).
- Brunet, M. et al. Nature 418, 145–151 (2002).
- Guy, F. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 102, 18836–18841 (2005).
- Zollikofer, C. P. et al. Nature 434, 755–759 (2005).
- Lieberman, D. E. The Evolution of the Human Head (Harvard Univ. Press, 2011).
- Wood, B. & Harrison, T. Nature 470, 347–352 (2011).
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