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気体溶解度を飛躍的に高める「多孔性の水」

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 11 | doi : 10.1038/ndigest.2022.221140

原文:Nature (2022-08-25) | doi: 10.1038/d41586-022-02224-7 | Suspended pores boost gas solubility in water

Margarida Costa Gomes

特殊な多孔性固体を水中に懸濁させることで「多孔性の水」が得られた。この液体は、血液よりも多くの酸素を運ぶことができ、生物医学用の水性製剤への道を開くと期待される。

図1:多孔性の水
Erdosyら1は、疎水性の細孔表面と親水性の外表面を持つ特殊な多孔性固体のナノ結晶を水中に分散させることで、安定なコロイド懸濁液を得た。こうした多孔性固体の細孔は、水分子(H2O)を十分収容できるほど大きいが、内表面が疎水性であるためにこれを寄せ付けず、水中に溶解した酸素分子(O2)を迅速に取り込む。その結果、この懸濁液は液体水そのものよりはるかに多くのO2を運搬できる。 | 拡大する

全ての気体は、ある程度水と相互作用する。しかし、反応性の気体を除いて、大半の気体の水への溶解度は有機溶媒への溶解度よりはるかに低い。そのため、水溶液中の気体の溶解度を高めることができれば、多くの化学プロセスやエネルギー貯蔵戦略の持続可能性が大幅に向上すると考えられる。特に、酸素(O2)や二酸化炭素(CO2)などの気体を水に大量に溶かすことのできる能力は、生物医学的応用に大きな進歩をもたらすだろう。このたび、ハーバード大学(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)のDaniel Erdosyら1は、特殊な微多孔性ナノ結晶を用いて水中に永続的な細孔を形成することで、気体の溶解度を大幅に高める方法を開発し、Nature 2022年8月25日号712ページで報告した。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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