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Željko Zgrablić

Nature ダイジェスト Vol. 19 No. 10 | doi : 10.1038/ndigest.2022.221046

原文:Nature (2022-06-13) | doi: 10.1038/d41586-022-01619-w | Sniffing out forest fungi

Nic Fleming

Željko Zgrablićは、ルジェル・ボスコビッチ研究所(クロアチア・ザグレブ)の野外菌類学者。

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DAMIR SENCAR/AFP via Getty

クロアチアの一部の地域では、トリュフは社会的・経済的に重要な役割を果たしています。

その価格は1kg当たり5000ユーロ(約70万円)にもなることも。トリュフ産業と、それに関連した観光業は、雇用と副収入を生み、地域経済を活性化させます。トリュフの魅力は経済面だけではありません。純粋に森にトリュフを探しに行くのが好きという人も多いのです。

私が菌類に魅せられたのは6歳のときで、父や祖父に連れられて近場で狩猟やキノコ狩りをしたのがきっかけです。今は、トリュフなどの地下生菌(地中で子実体を作る菌類)の研究をしています。年間50~100日は愛犬たちと一緒に野外調査に出かけ、クロアチア全土の菌類の標本採取の他、その生活環や生態、地理的分布に関するデータも収集しています。一緒に写っている犬はマーシャです。私はこの仕事が気に入っています。

私の故郷はアドリア海の奥のイストリア地方です。この地方の年間降雨量は、30年前はある程度予測できました。今の気候は極端で、干ばつも頻発しています。トリュフが成長するためには適度な降水が必要なので、干ばつは収穫量を低下させます。また、暖冬で増えたイノシシたちは土壌を荒らし、トリュフを食べてしまいます。近年、トリュフを見つけるのはますます難しくなっています。

トリュフを栽培できるようになれば、自生地の状況に左右されずに安定した供給が可能になります。土壌の水分量を管理し、農法の工夫により生産性を高め、イノシシの侵入を防ぐことができます。トリュフは生きた樹木と共生しているので、私たちは黒トリュフの胞子を宿主となる樹木の苗木に植え付ける実験などを通じて、栽培の可能性を探っています。

生物のDNAの短い塩基配列を比較するDNAバーコーディングという手法を用いて、保護区の土壌中の菌類の胞子や根のような菌糸体から種名を突き止める研究も行っています。従来の推定よりもはるかに多い種類の菌類が生育していることが明らかになってきています。

トリュフが生育する地域と生育しない地域を比較することで、その差が生じる原因を解明できるかもしれません。私たちの研究は、アドリア海のブリユニ国立公園の島々などにおける生物多様性の重要性を示すのにも役立っています。

(翻訳:三枝小夜子)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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