がん細胞は睡眠中に転移しやすい
血流を循環する循環腫瘍細胞（CTC；紫）。CTCの塊（クラスター）の内部には、白血球など非がん細胞が共存することが報告されている。 Credit: NANOCLUSTERING/SCIENCE PHOTO LIBRARY/Getty
がんが人間の健康にとって最大の脅威の1つであるという状況は、長年にわたり変わっていない。臨床診療や腫瘍生物学の分野では数多くの発見がなされ、確かに大きな進歩が認められるとはいえ、がんという病気に関する知識には解決すべき重要な問題が依然として残されている。がんが進行する過程ではさまざまな現象が観察されるが、その中でも、がんが発生した組織から体内の別の部位へと広がる「転移」と呼ばれる現象ほど、理解すべき重要な過程はないだろう。チューリヒ工科大学のZoi Diamantopoulouら1はNature 2022年7月7日号の156ページで、がんの転移しやすさが睡眠中にどう変わるかを明らかにした研究の結果を報告している。
全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。
翻訳：藤山与一
原文
Cancer cells spread aggressively during sleep- Nature (2022-07-07) | DOI: 10.1038/d41586-022-01639-6
- Harrison Ball & Sunitha Nagrath
- Harrison Ball、Sunitha Nagrathは共にミシガン大学化学工学科、同大学Rogelがんセンターおよび同大学バイオインターフェース研究所（いずれも米国アナーバー）に所属。
参考文献
- Diamantopoulou, Z. et al. Nature 607, 156–162 (2022).
- Taftaf, R. et al. Nature Commun. 12, 4867 (2021).
- Rupp, B., Ball, H., Wuchu, F., Nagrath, D. & Nagrath, S. Trends Pharmacol. Sci. 43, 378–391 (2022).
- Poudineh, M., Sargent, E. H., Pantel, K. & Kelley, S. O. Nature Biomed. Eng. 2, 72–84 (2018).
- Szczerba, B. M. et al. Nature 566, 553–557 (2019).
- Bishehsari, F., Voigt, R. M. & Keshavarzian, A. Nature Rev. Endocrinol. 16, 731–739 (2020).
- Masri, S. & Sassone-Corsi, P. Nature Med. 24, 1795–1803 (2018).
- Giuliano, M. et al. Cancer Res. 78, 845–852 (2018).
- Keller, L. & Pantel, K. Nature Rev. Cancer 19, 553–567 (2019).
- Kim, T. H. et al. Nature Commun. 10, 1478 (2019).