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腫瘍細胞を休眠へといざなうナチュラルキラー細胞

肝臓に転移したがん細胞。 Credit: STEVE GSCHMEISSNER/Science Photo Library/Getty

腫瘍は、最初に発生した部位から広がって、体の他の部位で増殖することがある。これは転移巣と呼ばれ、このような腫瘍を治療する取り組みはうまくいかないことが多く、がん関連死の主な原因である。そのため、がんを治癒させるという医療上の要求に応えるためには、転移巣を制御する方法を見つけることが重要である。がん細胞が、最初に発生した原発巣から移動して、体のさまざまな部位に播種される過程は、転移と呼ばれる。転移したがん細胞がその部位で増殖を開始すると転移巣が形成されるわけだが、長い間、休眠状態に保たれることもある。この休眠状態を維持するのに、免疫細胞による監視が役割を担っていることが分かっているが1、転移部位で腫瘍が休眠状態から増殖へと切り替わる機構はこれまで分かっていなかった。このほどバーゼル大学およびフリードリヒ・ミーシャー生物医学研究所およびバーゼル大学病院(スイス)のAna Luísa Correiaら2は、乳がんに起因する肝転移巣の形成の制御に、ナチュラルキラー(NK)細胞が非常に重要な役割を果たしていることを見いだし、Nature 2021年6月24日号566ページで報告している。

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翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 9

DOI: 10.1038/ndigest.2021.210943

原文

Natural killer cells lull tumours into dormancy
  • Nature (2021-06-24) | DOI: 10.1038/d41586-021-01381-5
  • Noella Lopes & Eric Vivier
  • Noella Lopesはエクス・マルセイユ大学(フランス)に所属、Eric Vivierはエクス・マルセイユ大学およびマルセイユ公立病院機構およびイナート・ファルマ社(フランス・マルセイユ)に所属。

参考文献

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  2. Correia, A. et al. Nature 594, 566–571 (2021).
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