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準結晶は人類初の核実験で生まれていた!

今回、赤色のトリニタイト試料に、これまで知られていなかった組成の準結晶が含まれていることが明らかになった。 Credit: LUCA BINDI, PAUL J. STEINHARDT

周期性はないが長距離秩序はある、結晶でもアモルファス(非晶質)でもない特殊な固体物質「準結晶」。1980年代まで「存在し得ない」とされていたこの稀な物質がこのほど、世界初の核実験で生成された鉱物の中に発見された。この新たな準結晶は、ケイ素、銅、カルシウム、鉄という、これまで知られていなかった独特な組み合わせからなり、おそらく砂漠の砂と銅線ケーブルが蒸発・溶融して形成されたと考えられる。この成果は、プリンストン大学(米国ニュージャージー州)の理論物理学者ポール・スタインハート(Paul Steinhardt)らによって、Proceedings of the National Academy of Sciences 2021年6月1日号で報告された1

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翻訳:藤野正美

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 8

DOI: 10.1038/ndigest.2021.210804

原文

First nuclear detonation created ‘impossible’ quasicrystals
  • Nature (2021-05-17) | DOI: 10.1038/d41586-021-01332-0
  • Davide Castelvecchi

参考文献

  1. Bindi, L. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 118, e2101350118 (2021).
  2. Shechtman, D., Blech, I., Gratias, D. & Cahn, J. W. Phys. Rev. Lett. 53, 1951–1953 (1984).
  3. Levine, D. & Steinhardt, P. J. Phys. Rev. Lett. 53, 2477–2480 (1984).
  4. Bindi, L. et al. American Mineralogist. 96 928–931 (2011).
  5. Bindi, L. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 109 1396–1401 (2012).