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新型コロナウイルス研究注目の論文(4月)

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 5 | doi : 10.1038/ndigest.2021.210501

原文:Nature (2020-05-22) | doi: 10.1038/d41586-020-00502-w | Coronavirus research updates

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2021年4月)。3月分はこちら

4月30日

1回のワクチン接種でウイルスの伝播リスクはほぼ半減する

英国の36万5000以上の世帯を対象とする分析から、ファイザー社製またはアストラゼネカ社製のCOVID-19ワクチンの接種を1回受けた人は、身近な人にSARS-CoV-2を伝播させるリスクが半減することが明らかになった。

これらのワクチンは、COVID-19の症状や重症化を抑える効果があることが示されているものの、SARS-CoV-2の伝播を防ぐ効果については不明であった。イングランド公衆衛生局(英国ロンドン)のKevin DunbarとGavin Dabreraらは、いずれかのワクチンの接種を1回受けた後にSARS-CoV-2に感染した症例を調べ、こうした人々が家庭内の濃厚接触者にウイルスを伝播させる頻度を評価した(R. J. Harris et al. Preprint at Knowledge Hub https://go.nature.com/3e3iu1i; 2021)。

研究チームは、ワクチン接種から21日以上経過していてもウイルスの陽性反応が出る人がいることを見いだした。しかし、こうした人々が家族にウイルスを伝播させた頻度は、ワクチン接種を受けていない人が家庭内で最初に陽性となって家族にウイルスを伝播させた頻度よりも40~50%も低かった。研究の結果は、2種類のワクチンで同様であった。なお、この論文はまだ査読を受けていない。

4月29日

チリの都市でのSARS-CoV-2による死者数は、大きな格差を反映している

チリの首都サンティアゴでは、COVID-19は社会経済的地位の低い人々に最も大きな打撃を与えた。要因としては、狭い家でひしめき合って暮らしていること、医療が行き届いていないこと、自宅で仕事ができないことなどが挙げられる。

ハーバードT.H.チャン公衆衛生大学院(米国マサチューセッツ州ボストン)のGonzalo Menaらの研究によると、サンティアゴの低所得者層が住む地区での死亡率は高所得者層が住む地区よりも高く、中でも80歳未満の死亡率の高さが目立ったという(G. E. Mena et al. Science https://doi.org/f9b4; 2021)。研究チームは、この差を説明する事実をいくつか発見した。まず低所得地区では、高所得地区に比べてSARS-CoV-2検査の陽性率が高かった。これは、低所得地区での検査数が足りていないことを意味している。感染拡大を抑え込むための取り組みは症例数に基づいて行われるため、検査数が足りないと、正しい目標を設定することができない。

それに、低所得地区の人口1万人当たりの病床数は、高所得地区の4分の1であった。また、COVID-19による死者のうち医療機関以外で死亡した人の割合は、首都の高所得地区では55%であったのに対し、低所得地区では90%という驚くべき高さであった。

さらに、携帯電話の位置情報を利用した調査から、低所得地区の人々は、外出が禁止されている期間中もよく移動していたことが明らかになった。おそらくこうした人々は、自宅ではできない仕事をしていると考えられる。

4月28日

市民が自分で採取したぬぐい液で、パンデミックの隠れたパターンを追跡できる

集団から無作為に抽出した人々について定期的にぬぐい液検査を行うことで、若年成人層の感染状況を含め、SARS-CoV-2感染の再拡大を速やかに検知することができる。

ロンドン大学インペリアルカレッジ(英国)のSteven RileyとPaul Elliottらは、無作為に選んだ59万4000人の英国住民が2020年5月1日〜9月8日に採取した自身や子どもの鼻咽頭ぬぐい液について、SARS-CoV-2感染を調べる検査を行った(S. Riley et al. Science https://doi.org/f8rx; 2021)。2020年の早い時期に英国を襲った第1波のピーク時、SARS-CoV-2有病率(ある時点での感染者の割合)は5%前後だった。この論文によると、その後、検査対象者の有病率は0.04%まで下がったが、それから上昇に転じて、最終回の検査では約0.13%とピークに達した。

第2波の初期に当たる9月初旬の有病率は、18~24歳の若年層が最も高く0.25%であったのに対し、65歳以上の高齢者では0.04%だった。これは、若年層の交流が活発になったことが感染再拡大につながったことを示唆している。このような年齢ごとのパターンは、保健当局が定期的に実施するサーベイランスのデータには反映されていないため、若年層の感染率の過小評価につながった。

コミュニティーにおける大規模検査には、有病率が低い状況でも感染の急増を早期に警告できるという利点があることが今回の研究で明らかになったと、研究チームは述べている。

4月27日

大規模な臨床試験を行わずにワクチンの効果を予測する方法

サルでの研究から、モデルナ社のSARS-CoV-2ワクチンは、主要なウイルスタンパク質に対する抗体の産生を誘導することにより防御効果を発揮していることが示唆された。この知見がヒトでも確認されれば、次世代ワクチンの開発が加速する可能性がある。

ワクチンは、抗体の産生やT細胞(ウイルスに感染した細胞を排除する細胞)の活性化など、さまざまな免疫反応を誘導することができる。ワクチンの成功を予測する指標となる免疫反応を特定することで、科学者はワクチン候補についてより容易に判断を下せるようになる。

モデルナ社のワクチンにおいて重要な免疫反応を特定するため、国立アレルギー・感染症研究所(米国メリーランド州ベセスダ)のBarney GrahamとRobert Sederらは、サルにさまざまな量のワクチンを接種してからSARS-CoV-2に曝露させた(K. S. Corbett et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/f8pf; 2021)。ワクチンを接種されたサルの中で、鼻と肺のウイルス遺伝物質の量が最も少なかったサルは、モデルナ社のワクチンがコードするウイルスのスパイクタンパク質を認識する抗体の量が最も多かった。その他の免疫マーカーのレベルは、ワクチンの防御効果とそれほど強い相関関係はなかった。なお、この研究結果はまだ査読を受けていない。

現在行われている並行研究では、モデルナ社のものをはじめとするワクチンの接種により防御されている人々の免疫マーカーと、ワクチン接種を受けたにもかかわらず感染してしまった人々の免疫マーカーの比較を行う。こうした「防御の相関関係」が明らかになれば、研究者は、多額の費用がかかる大規模な臨床試験を行うことなく、既存のワクチンや将来のワクチンを評価できるようになる。

4月23日

介護施設で発生したクラスターから明らかになったCOVIDワクチンの威力

mRNAベースのCOVIDワクチンの効果が、現実世界で示された、新しいSARS-CoV-2変異株から介護施設の入居者とスタッフを守ったのだ。

2021年3月1日、米国ケンタッキー州の介護施設で、ワクチン未接種の医療従事者がSARS-CoV-2検査で陽性となった。当時、この介護施設の入居者の90%と医療従事者の53%が、ファイザー社とビオンテック社が共同開発したワクチンを2回接種していて、その大半が、この医療従事者の感染が確認される2週間以上前に2回目の接種を終えていた。

米国疾病対策センター(CDC)のAlyson Cavanaughらの報告によると、この介護施設では199人中46人が感染したという。(A. M. Cavanaugh et al. Morb. Mortal. Wkly Rep. https://doi.org/f732; 2021)。研究者らの見積もりによると、ワクチンが発症を予防する効果は、2回目の接種から2週間以上経過した入居者については86.5%、同じく職員については87.1%であった。ワクチン接種を受けた入居者のうち1名が死亡したものの、ワクチンが入院を予防する効果は、感染を予防する効果よりもさらに高かった。

この介護施設での感染者27人の検体についてウイルスゲノム塩基配列を解析した結果、クラスター発生時にはR.1変異株が流行していたことが特定された。この変異株は、伝播性の増強や免疫回避に関連する変異を持つことが分かっている。

4月22日

過去の感染がCOVID-19の有症状期間を短縮する可能性

2000人の医療従事者の抗体の分析から、SARS-CoV-2近縁ウイルスに最近感染した人は、COVID-19の有症状期間が短くなる可能性があることが分かった。

SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対する抗体は、COVID-19に対する強力な防御となり得る。一方、SARS-CoV-2によるパンデミック以前に他のコロナウイルスに感染した人の中には、SARS-CoV-2のスパイク以外のタンパク質に結合できる稀な抗体を持っている人がいる。このような抗体とCOVID-19からの防御との関連を確認するため、ペンシルベニア大学(米国フィラデルフィア)のScott Hensleyらは、COVID-19患者が急増した2つの時期に、地元のボランティア約2000人の抗体レベルと感染状態を調べた(S. Gouma et al. Preprint at medRxiv https://doi.org/f7zp; 2021)。

研究チームは、パンデミック以前に獲得したSARS-CoV-2に反応する希少な抗体を持っていても、SARS-CoV-2への感染とCOVID-19の発症は防げないことを発見した。しかし、SARS-CoV-2と同じベータコロナウイルス属の2種類のウイルスによって誘導された抗体の濃度の高さは、COVID-19の症状の回復の早さと関連付けられた。

この防御効果は、過去のベータコロナウイルス感染に反応して産生されたT細胞という免疫細胞によってもたらされたと、研究チームは推測している。なお、この研究結果はまだ査読を受けていない。

4月15日

一般的な喘息薬でCOVIDの有症状期間が数日短縮する可能性

COVID-19の重症化リスクのある4600人以上を対象とした臨床試験で、ブデソニドと呼ばれる吸入喘息薬がCOVID-19の有症状期間を約3日短縮することが分かった。

ブデソニドは安価で入手が容易な吸入ステロイド喘息薬である。オックスフォード大学(英国)のChristopher ButlerとRichard Hobbsらは、COVID-19の症状があるが入院はしていない人々を対象にブデソニドの試験を行った(PRINCIPLE Collaborative Group et al. Preprint at medRxiv https://doi.org/f6hf; 2021)。

研究参加者は65歳以上の高齢者か、COVID-19の合併症のリスクを高め得る基礎疾患を持つ50歳以上の人々であった。参加者はブデソニド投与群と対照群に無作為に割り付けられた。プラセボは用いず、参加者も研究者も、誰が薬を投与されたか知っていた。

ブデソニドを1日2回、2週間にわたって服用した参加者が報告したCOVID-19の症状が終わるまでの日数は、服用しなかった参加者に比べて3日短かった。なお、この結果はまだ査読を受けていない。

4月14日

COVIDワクチン接種プログラムは変異株を抑え込んでいる

イスラエルの世界トップレベルのワクチン接種プログラムは、懸念されているSARS-CoV-2変異株を抑え込んでいるようである。

イスラエルでは60%以上の人々がファイザー社製のSARS-CoV-2ワクチンを接種済みで、感染者数は急激に減少している。とはいえ、英国で最初に確認されたB.1.1.7をはじめとする新しい変異株も流行している。その影響を調べるため、テルアビブ大学(イスラエル)のAdi Sternとクラリット研究所(同国ラマト・ガン)のShay Ben-Shacharが率いるチームは、ワクチンを接種した数百人で記録された「ブレイクスルー感染」を分析した(T. Kustin et al. Preprint at medRxiv https://doi.org/f6g3; 2021)。

ブレイクスルー感染のうち250件近くは、推奨されている2回のワクチン接種のうち1回しか受けていない人々だった。研究者らはこれらの感染を、年齢、感染日、その他の特徴が一致する同数のワクチン未接種者の感染と比較した。その結果、ワクチンを1回しか接種していない人々の感染の原因がB.1.1.7変異株である可能性は、ワクチン未接種の人々に比べてわずかに高いことが分かった。

研究チームは、2回のワクチン接種を終えた人々の149件のブレイクスルー感染についても調べた。これらの感染のうち8件は、南アフリカで最初に確認されたB.1.351変異株によるものだった。一方、ワクチン未接種の同じく149件の感染事例のうち、B.1.351変異株による感染は1件のみだった。これは、B.1.351変異株に対するワクチンの効果は、他の変異株に対する効果に比べて低いことを示唆している。

研究者らは、B.1.351変異株による感染の割合は非常に低く、研究期間中に上昇することはなかったとし、ワクチン接種やその他の介入によって、この変異株を制御下に置くことができていると述べている。なお、この研究はまだ査読を受けていない。

4月12日

SARS-CoV-2の感染拡大阻止には迅速検査が有効

350万件以上の新型コロナウイルス検査の結果を組み込んだシミュレーションによると、迅速検査は、ウイルスのさらなる伝播につながり得る感染のほとんどを事前に検出できるという。

抗原ラテラルフローデバイスと呼ばれる携帯型検査キットを用いたSARS-CoV-2迅速検査は、「検査と追跡」プログラムを補強することができる。こうした検査は、標準とされているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査に比べて短時間で結果が出るが、感染者を検出する能力は低い(2021年5月号「新型コロナウイルス迅速検査、どう活用すればいい?」参照)。

ジョン・ラドクリフ病院(英国オックスフォード)のDavid EyreとTim Petoらは、2020年9月1日〜2021年2月28日にイングランドで収集された検査データと濃厚接触者の追跡データを分析した(L. Y. W. Lee et al. Preprint at medRxiv https://doi.org/f5jc; 2021)。この研究には、SARS-CoV-2のPCR検査で陽性だった約100万人のデータと、その濃厚接触者約250万人のPCR検査結果が含まれていた。

研究チームは、ラテラルフローデバイスによる検査で伝播し得る症例をどの程度検出できるかについて、デバイスの性能に関するデータを用いてシミュレートした。その結果から、最も感度の高い迅速検査であれば、ウイルスを濃厚接触者に伝播した症例の90%近くを事前に検出できたはずだと推定した。また、体内のウイルス量が高い人は、低い人よりも感染力が高い傾向にあることも明らかにした。

さらに、最初に英国で確認されたB.1.1.7変異株による感染は、伝播を約50%増加させたという。なお、この研究結果はまだ査読を受けていない。

スプートニクVワクチンは、風邪の原因となるアデノウイルスを利用して、SARS-CoV-2の遺伝物質を細胞内に送り込む。 | 拡大する

Yelena Afonina/TASS/Getty

4月9日

ワクチン「スプートニクV」は急速に広まっている変異株を抑制できない

南アフリカで最初に検出されたSARS-CoV-2変異株は、ロシア製ワクチン「スプートニクV」の接種で誘導される抗体から逃れることができる。

ガマレヤ国立疫学・微生物学センター(ロシア・モスクワ)が開発したスプートニクVをはじめとする多くのワクチンは、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質(ウイルスが宿主細胞に感染する際に用いるタンパク質)を標的とする抗体の産生を誘導する。そのためこうしたワクチンは、スパイクタンパク質をコードする遺伝子に変異があるSARS-CoV-2変異株に対し効果がないかもしれないと、科学者たちは懸念している。

スプートニクVの接種を受けた12人の血清検体を入手したマウントサイナイ・アイカーン医科大学(米国ニューヨーク市)のBenhur Leeらは、特定のSARS-CoV-2スパイク変異株のスパイクタンパク質を発現するように改変した無害なウイルスを使って、この血清の効果を調べた(S. Ikegame et al. Preprint at medRxiv https://doi.org/f5h9; 2021)。

その結果、12の検体のうちの8つが、南アフリカで最初に確認されたB.1.351変異株のスパイクを持つウイルスを抑制できないことが分かった。しかし、英国で最初に確認されたB.1.1.7変異株のスパイクを持つウイルスは効果的に抑制した。

Leeらは、新しい変異株の出現に応じて新世代のワクチンを開発することが必要かもしれないと述べている。なお、この研究結果はまだ査読を受けていない。

4月8日

SARS-CoV-2の新しい変異株は抗体で中和されにくい

米国カリフォルニア州で最初に見つかり、急速に広まっているSARS-CoV-2変異株は、ワクチンによって誘導される抗体反応を鈍らせる。

2021年初頭、カリフォルニアで採取されたSARS-CoV-2を調べていた研究者らは、スパイクタンパク質(ウイルスが細胞に感染する際に用いるタンパク質)に影響を及ぼすいくつかの変異を共有する変異株B.1.427とB.1.429を発見した。これらの変異株は、世界30カ国と米国のほとんどの州で確認されていて、2021年2月には、カリフォルニア州で塩基配列が解読されたSARS-CoV-2の半数以上を占めていた。

ワシントン大学(米国シアトル)のDavid Veeslerらは、この変異株がもたらす脅威をより正確に把握するために、変異株が中和抗体(ウイルスの感染を阻止する分子)から逃れる能力について実験室で検証した(M. McCallum et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/f5jq; 2021)。その結果、ファイザー社またはモデルナ社のワクチンを2回接種した人が産生する中和抗体が、B.1.427およびB.1.429のスパイクタンパク質に見られる変異を持つウイルスを不活化する能力は平均して、これらの変異を持たないウイルスを不活化する能力の3分の1しかないことが明らかになった。なお、この研究成果はまだ査読を受けていない。

この研究とは独立に、デューク大学(米国ノースカロライナ州ダーラム)のXiaoying ShenとDavid Montefioriらも、ワクチンにより誘導された抗体がB.1.429を不活化する能力について調べた(X. Shen et al. N. Engl. J. Med. https://doi.org/f5kc; 2021)。研究チームは、モデルナ社のワクチン接種者、ノババックス社のワクチン接種者、およびCOVID-19からの回復者から得られた3種類の中和抗体について、B.1.429に対する不活化作用を調べた。実験室での試験の結果、3種類の抗体全てにおいて、B.1.429はパンデミックの初期に流行したウイルス株よりも不活化されにくいことが分かった。

抗体の効果の低下は、英国で最初に確認されたB.1.1.7変異株についても観察されている。Montefioriの研究チームは、現在のワクチンはB.1.1.7に対しても高い効果があることから、カリフォルニアで見つかった変異株に対しても依然として有効である可能性が高いと述べている。

4月7日

モデルナ社のワクチンによって誘導された抗体は数カ月間持続する

モデルナ社(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)のmRNAワクチンが誘導する免疫反応は、少なくとも6カ月間は持続する。

モデルナ社が開発した2回接種ワクチンは94%の予防効果があることが示されている。このワクチンによる保護に持続性があるかどうかを調べるために、エモリー大学医学系大学院(米国ジョージア州ディケーター)のMehul Sutharらは、治験の初期段階でこのワクチンを接種した33人の抗体を調べた(N. Doria-Rose et al. N. Engl. J. Med. https://doi.org/f5c6; 2021)。

3種類の検査により、研究参加者は2回目のワクチン接種から6カ月後もSARS-CoV-2に対する抗体を持っていることが明らかになった。最年長の年齢層を含む参加者全員の抗体が、実験室で改変されたSARS-CoV-2を抑制することができたのだ。研究チームは現在、ワクチンによって誘導された抗体が6カ月以上持続するかどうかを調べている。

4月6日

多数の変異を持つ新しいSARS-CoV-2変異株が飛行機の旅客で見つかった

アンゴラで新たに見つかった変異株中の変異の数は、これまでに見つかったSARS-CoV-2では最多であった。

2021年2月にタンザニアからの飛行機でアンゴラに到着した3人の検体で見つかったSARS-CoV-2について塩基配列が解読され、これが新たな変異株であることが確認された。(T. de Oliveira et al. Preprint at medRxiv https://doi.org/f48g; 2021)。A.VOI.V2と名付けられたこの変異株には、スパイクタンパク質(ウイルスが細胞に感染する際に使用するタンパク質)中の14カ所を含む34カ所もの変異があった。

一連の解析を行ったクワズールー・ナタール大学(南アフリカ・ダーバン)のTulio de Oliveiraとアンゴラ保健省(ルアンダ)のSilvia Lutucutaが率いるチームは、この株が持つ変異の中には、一部の人々の免疫反応から逃れるのに役立っている可能性のあるものが含まれているため、さらなる研究が必要と述べている。なお、この研究結果はまだ査読を受けていない。

マスクをして遊ぶイスラエルの子どもたち。イスラエルでは人口の約60%が新型コロナワクチンの接種を1回以上受けている。 | 拡大する

Guy Prives/Getty

4月2日

国が成人へのワクチン接種を急げば子どもも守れる

多くの人にSARS-CoV-2ワクチンを接種すれば、同じコミュニティーのワクチン接種を受けていない子どもたちの感染率も抑えることができる。

イスラエルは2020年12月に世界有数の迅速さでワクチン接種計画を開始し、9週間で人口の50%に接種した。しかし、ワクチン接種対象は16歳以上に限定していた。 広範なワクチン接種の波及効果を検証するため、マッカビ医療サービス(イスラエル・テルアビブヤフォ)のTal Patalonとテクニオン・イスラエル工科大学(ハイファ)のRoy Kishonyらは、国内の223のコミュニティーの人々について、2021年1〜3月に記録されたSARS-CoV-2のワクチン接種と検査結果を分析した(O. Milman et al. Preprint at medRxiv https://doi.org/f4d7; 2021)。研究チームはそれぞれのコミュニティーにおいて、3週間ずつ3回にわたり、成人のワクチン接種率と、35日後の子どもの検査陽性率との関係を調べた。

その結果、16歳以上の人々がファイザー社とビオンテック社のワクチン接種を受けた数週間後の16歳未満の子どもの感染リスクは、成人のワクチン接種率の増加に合わせて低下していることが明らかになった。研究チームは、感染率の低いコミュニティーで行ったが、以前に感染したことのある子どもたちの影響を受けている可能性はあると付記している。なお、この研究結果はまだ査読を受けていない。

(翻訳:三枝小夜子)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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