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「100万年前」という壁を打ち破ったマンモスの古代ゲノム

アデチャ(Adycha)のゲノム情報を基に描かれたマンモスの想像図。このマンモスは、ケナガマンモスの祖先に当たるトロゴンテリーゾウに似ていた。 Credit: BETH ZAIKEN/CENTRE FOR PALAEOGENETICS

「100万年前のゲノム」がついに現実のものとなった。シベリア東部の永久凍土に保存されていたマンモスの歯から、史上最古となる古代DNAが抽出され、その塩基配列が解読されたのだ。この年代は、解析技術の理論的な限界に近づくものだが、おそらくはさらに古いDNAの解析も可能だろう。今回の研究は、1970年代に発掘された前期および中期更新世のマンモス3個体の標本について行われたもので、得られたゲノム情報からは、後の北米のマンモス種の祖先に当たる未知の種の存在など、マンモス類の興味深いゲノム史が明らかになった。これらの知見はNature 2021年3月11日号265ページで報告された1

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翻訳:小林盛方

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 5

DOI: 10.1038/ndigest.2021.210504

原文

Million-year-old mammoth genomes shatter record for oldest ancient DNA
  • Nature (2021-02-17) | DOI: 10.1038/d41586-021-00436-x
  • Ewen Callaway

参考文献

  1. van der Valk, T. et al. Nature 591, 265–269 (2021).
  2. Orlando, L. et al. Nature 499, 74–78 (2013).
  3. Demarchi, B. et al. eLife 5, e17092 (2016).
  4. Cappellini, E. et al. Nature 574, 103–107 (2019).
  5. Meyer, M. et al. Nature 531, 504–507 (2016).