Where I Work

Cliff Kapono

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 4 | doi : 10.1038/ndigest.2021.210456

原文:Nature (2020-11-02) | doi: 10.1038/d41586-020-03051-4 | Catching a wave to study coral

Chris Woolston

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Nature by Naniali‘i Welch Keli‘iho‘omalu

私のお気に入りの研究場所は、ハワイ島のヒロの町の近くの海岸です。この場所へはサーフボードで来るのが一番です。私はハワイの海でサーフィンをして育ち、今は巨大な波の下にあるサンゴ礁の研究をしています。晴天時だけでなくハリケーンの最中にも試料を採取しなければならないので、打ち寄せる波の中をサーフボード以外の乗り物でここまで来るのは難しいでしょう。

写真は、ホノリイ川の河口で、水の導電率、塩分濃度、深さを測定する装置を水中に下ろしているところです。この川はサンゴ礁の上に淡水の層を作っていて、サンゴ礁生態系の中で重要な役割を果たしています。

私は米国立科学財団(NSF)の支援を受けて、ホノリイ川の流れの変化が淡水層とサンゴの全体的な健康に及ぼす影響を調べています。

現在、世界の多くの海のサンゴが危機に瀕していますが、ここのサンゴ礁は元気です。私はその理由を解明したいのです。淡水層が盾や天蓋のような役割を果たしているのかもしれません。

大雨が降ると、淡水層はしばらくの間、暗く濁った状態になりますが、サンゴはこうした規則的な擾乱に適応しているように見えます。これはまさに私の研究テーマである「レジリエント(レジリエンス:擾乱を受けても回復する能力)」な系であり、そこがたまたま、昔から親しんできたサーフスポットだったのです。

私の研究はいつも海に帰ってきます。別のプロジェクトでは、世界各地のサーファーから細菌の試料を採取し、彼らが海と接触することで、その肌や腸のマイクロバイオームがどのように変化したかを調べました。人々の細菌を調べると、その人が海水中でどのくらいの時間を過ごしているかが分かります。将来的には、海洋細菌が人間の健康に影響を及ぼすような代謝物や神経伝達物質を産生していないか調べてみたいと思っています。サーフィンは、私たちがまだ解明していないやり方で体に良い影響を及ぼしていることが明らかになるかもしれません。

私は故郷の海で研究できることを幸運に思っています。私は分析化学者なので、コンピューターでデータを処理したり、質量分析計で試料を調べたりするのにかなりの時間を費やしていますが、研究室の外でサーフボードの上にいるときが、研究者として最も充実していると感じる瞬間です。

(翻訳:三枝小夜子)

Cliff Kaponoは、ハワイ大学ヒロ校(米国)の 海洋生物学のポスドク研究員。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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