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造血幹細胞はトウガラシの刺激で血中に動員される

血液幹細胞の基本的な特徴は、体の全血液と免疫系を再生する能力を持つことである。この過程は造血として、また、細胞は造血幹細胞(HSC)としてよく知られている。HSCは、発生中の胚では血液循環に入ることで移動が可能になり、異なる解剖学的部位をあちこち移動しているが、出生後は骨髄の特殊なニッチに存在している。ニッチは、HSCの静止状態や自己複製を支えている1。HSCは、生涯にわたって骨髄から放出され、不随意神経の制御下にある概日パターンで血球を補充する2。痛みを感知する神経も骨髄に接続されているが、これらのニューロンもHSCを動員できるのだろうか? このほどアルバート・アインシュタイン医科大学(米国ニューヨーク)のXin Gaoら3は、この疑問に取り組み、トウガラシの驚くべき役割を特定したことをNature 2021年1月28日号591ページで報告した。

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翻訳:三谷祐貴子

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 4

DOI: 10.1038/ndigest.2021.210440

原文

Pain-sensing neurons mobilize blood stem cells from bone marrow
  • Nature (2021-01-28) | DOI: 10.1038/d41586-020-03577-7
  • Anastasia N. Tikhonova & Iannis Aifantis
  • Anastasia N. Tikhonovaは、ユニバーシティ・ヘルス・ネットワーク(カナダ・トロント)に所属、Iannis Aifantisはニューヨーク大学グロスマン医学系大学院(米国)に所属。

参考文献

  1. Crane, G. M., Jeffery, E. & Morrison, S. J. Nature Rev. Immunol. 17, 573–590 (2017).
  2. Méndez-Ferrer, S., Lucas, D., Battista, M. & Frenette, P. S. Nature 452, 442–447 (2008).
  3. Gao, X. et al. Nature 589, 591–596 (2021).
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