稀な接触感染、続く徹底消毒
2020年3月、米国ニュージャージー州に暮らすEmanuel Goldmanは、完全防備で近くのスーパーマーケットへと向かった。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例が全米各地で報告され始めたため、汚染された表面に直接触れないよう手袋をはめ、他の買い物客からのウイルス混じりの飛沫を吸い込まないようマスクを着用していたのだ。当時は、手袋もマスクも推奨されてはいなかった。
そして3月17日、COVID-19の原因ウイルスである重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、プラスチックやステンレスの表面で数日間にわたって残存し得る、という実験結果が報告された1。この報告は世界各地で衝撃的に報じられ、ドアノブから食品・雑貨まで、あらゆる物体の表面からウイルスを除去する方法についてのアドバイスが無数に飛び交った。世界保健機関(WHO)は2月の時点で、「SARS-CoV-2は物体の表面を介して感染し得る」というガイダンスを公表しており、この実験結果はそれを裏付けているかのようだった。物体の表面を介した感染は「間接接触感染」として知られ、このタイプの接触感染を媒介する物体は「媒介物(fomite)」と呼ばれる。
5月になる頃には、WHOも各国の保健当局も、通常の地域社会環境(家屋、バス、教会、学校、店舗など)にいる市民は、身の回りの物、とりわけ頻繁に手で触れる物体の表面を消毒し、ウイルスを除去すべきだと推奨するようになっていた。膨れ上がる需要に対応するため、消毒剤の工場は24時間体制で稼働を続けた。
こうした状況を受け、ラトガース・ニュージャージー医科大学(米国ニューアーク)の微生物学者であるGoldmanは、間接接触感染の主張の根拠とされる一連の報告について、エビデンスを精査してみることにした。すると、SARS-CoV-2が物体の表面を介して人から人へ伝播するという考えを裏付ける証拠がほとんどないことが分かった。Goldmanは7月、ウイルスの物体表面での残存期間に基づく間接接触感染の主張を強く批判するCommentをThe Lancet Infectious Diseases に寄稿し、SARS-CoV-2の伝播において間接接触がもたらすリスクは比較的低いと論じた2。この確信はその後も強まるばかりで、Goldmanはそれ以来ずっと手袋をはめていないという。
他にも、同様の結論に達した科学者は多い。実際、米国疾病管理予防センター(CDC)は5月の時点でCOVID-19の感染拡大に関するガイダンスを改訂し、間接接触感染は「SARS-CoV-2の主な伝播経路とは考えられていない」としていた。現在この記述は、「SARS-CoV-2の一般的な伝播経路とは考えられていない」へとさらに変更されている。
パンデミックの進行に伴いエビデンスが蓄積することで、SARS-CoV-2に関する科学的理解は変化してきた。COVID-19のアウトブレイク(集団発生)に関する研究や調査の結果はいずれも、SARS-CoV-2伝播の大多数が、感染者の咳や発話、呼吸に伴い放出される大きな飛沫や小さな粒子(エアロゾル)に起因すると指摘している。近くにいる人がこうした飛沫やエアロゾルを直接吸い込むことで、ウイルスが伝播するのだ。一方の間接接触感染は、起こらないわけではないものの、重大なリスクとは考えられていない。
とはいえ、物体表面の消毒は頻繁な換気よりも簡単で(特に冬場は十分な換気を行うのが難しい)、消費者も事業者の消毒対応を期待するようになっている。その結果、政府から企業、そして個人に至るまで、我々は今なお、莫大な時間とお金を費やして徹底的な消毒努力を続けている。2020年の末には、世界の表面消毒剤の売上高は総計45億ドル(約4700億円)に達した。これは、2019年の値を30%以上も上回る数字だ。米国ニューヨーク都市圏の地下鉄やバス、鉄道を管理する都市圏交通公社(MTA)の広報担当者によると、同社では2020年、旅客収入が数十億ドルも落ち込んだ中、清掃や衛生対策の強化などのCOVID-19対応には4億8400万ドル(約510億円)を投じたという。
問題の一部は、専門家が間接接触感染の可能性を完全には排除できないこと、そして、科学的な認識が変わった後も、多くの保健当局のガイダンスにおいて、物体の表面の扱いに関する説明が曖昧になっていることにある。2020年11月、中国当局は、輸入冷凍食品の包装の消毒を求めるガイドラインを導入した。またCDCは、間接接触感染は稀だと明言する一方で、ウェブサイトにSARS-CoV-2を無毒化する消毒剤の網羅的なリストへのリンクを掲載し、「多くの人が触れる物体の表面を頻繁に消毒することが重要」とも説明している。
専門家らは、手洗いの推奨には意味があると考えている。しかし、物体表面の徹底消毒については、反対する研究者もいる。2020年12月、バージニア工科大学(米国ブラックスバーグ)の工学者Linsey Marrらは、The Washington Post に寄稿した意見記事で、消毒行為にそこまで労力を注ぐべきではないと人々に訴えた。空気感染性疾患の伝播について研究しているMarrは、「COVID-19では、エアロゾルの吸入が、主要ではないにしても重要な伝播様式であることが明らかになっています」と話す。「物体の表面を完璧に消毒することに注意を向け過ぎると、人々が吸う空気の清浄化や換気に使うべき貴重な時間や資源が削がれることになるのです」。
誤解を招くウイルスRNA
エアロゾルよりも物体の表面に注意が向けられるようになったのは、COVID-19のアウトブレイクのごく初期に、他の感染症についての知識を参考にしたからだった。病院では以前から、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やRSウイルス、ノロウイルスなどの病原体が、ベッドの柵や医師の聴診器に付着し、それらを介して患者から患者へと伝播し得ることが知られていた。そのため、COVID-19の症例が出始めるや否や、研究者たちは病室や隔離施設で拭き取り検査を開始し、原因ウイルスが潜んでいると考えられる場所を探した。すると、至る所で陽性の結果が出たのだ。
医療施設では、眼鏡や水筒といった個人の持ち物から、微量ながらSARS-CoV-2のRNAが検出された。ウイルスRNAの検出は、ウイルスによる汚染を特定する基本的な方法である。SARS-CoV-2のRNAは他にも、病院のベッド柵や通気口、隔離対象となった家庭の洗面台やシャワー、レストランの木製の箸などで検出された。そして初期の研究からは、SARS-CoV-2がそうした表面で数週間にわたり残存する可能性が示唆された。さらに、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、SARS-CoV-2のPCR検査で陽性と判定された乗客・乗員712人が滞在していた船室内のさまざまな表面で、下船後最長17日までSARS-CoV-2のRNAが検出された3。
しかし、ウイルスRNAが検出されたからといって、必ずしも心配する必要はないとGoldmanは説明する。「ウイルスRNAはウイルスの死骸のようなもので、感染能力はないのです」。
この点を明確にするため、研究者たちは、物体の表面に数日間残存したSARS-CoV-2試料が培養細胞に感染する能力を持ち得るかどうかを調べ始めた。2020年4月に発表された研究報告では、SARS-CoV-2の感染能力が、プラスチックやステンレスなどの硬い表面で6日間、紙幣の表面で3日間、サージカルマスク(医療用マスク)の表面で少なくとも7日間維持されることが示された4。その後の研究では、感染能力のあるSARS-CoV-2の残存期間は、皮膚の表面では最長4日間であるのに対し、衣服の表面では8時間未満であることが示された5。また別の研究では、感染能力のあるSARS-CoV-2が、本革や合成皮革で製本された図書館の本の表面で8日間残存し得ることが報告された6。
非現実的な条件
これらの実験結果は確かに、SARS-CoV-2が物体の表面で感染能力を保持したまま長時間残存し得ることを示している。だがこれは、人々がドアノブなどを介してSARS-CoV-2に感染する、ということの証拠にはならない。Goldmanや他の研究者たちは、これらの研究の多くは、実験室外の現実的な条件で行われたものではないため、結果を深読みし過ぎてはならないと警告する。「これらの実験では、対象物に非常に大量のウイルスを付着させた上で、その残存時間を調べています。そうした量のウイルスに遭遇することは、現実世界ではまずあり得ません」とGoldmanは言う。他にも、模擬唾液を用いた実験や、湿度や温度などの条件が制御された実験などがあり、これらは全て、実験と現実世界との隔たりを大きく広げることにつながっているとGoldmanは指摘する。
実験室外の環境におけるSARS-CoV-2の感染能力を調べた研究の数は少ない。アスータ・アシュドッド大学病院(イスラエル)で感染症科を率いるTal Brosh-Nissimovらは、病院の隔離ユニットと病室、隔離用ホテルの客室で、個人の持ち物や家具類について拭き取り検査を行い、実際に検出されたウイルス試料を用いて培養細胞への感染能力を調べた。その結果、病院の試料の半数、隔離ホテルの試料の3分の1以上でSARS-CoV-2のRNAが検出されたものの、いずれのウイルス試料でも細胞への感染は認められなかったという7。
実際、研究者たちは、物体の表面から採取した試料に限らず、あらゆる環境試料において、感染能力のあるSARS-CoV-2の分離に苦戦してきた。それに成功した唯一の研究は、病院内でCOVID-19患者から2m以上の距離で採取した空気試料を用いたものだった8。
それでも、こうした結果から絶対的な結論を導き出すべきではない、と警告する科学者たちもいる。「実験で感染が認められないというだけでは、その場所にどこかの時点で感染能力のあるウイルスがなかったことにはなりません」と指摘するのは、香港大学(中国)の疫学者Ben Cowlingだ。
呼吸器系ウイルスの間接接触感染については、他の病原体で行われたヒト曝露試験の結果に、さらなる手掛かりを見いだすことができる。1987年、ウィスコンシン大学マディソン校(米国)の研究チームは、健康な参加者と、ライノウイルス(一般的な風邪の主な原因ウイルス)に感染させた参加者に、同じ部屋でカードゲームをしてもらう実験を行った9。その結果、健康な参加者の腕の動きを抑制して顔に触れられないようにし、汚染された物体表面からのウイルス伝播を防いだ場合、健康な参加者の半数が感染した。一方、健康な参加者の腕の動きを抑制しなかった場合も、そのほぼ半数が感染した。研究チームはさらに、感染した参加者が何度も使ったカードやチップ(咳がかかっている)を別室へ運び、健康な参加者に、それらを使って目や鼻をこすりながらカードゲームをするよう指示した。この状況で考えられる伝播様式は、カードやチップを介した間接接触のみである。しかし、この実験で感染した参加者は1人もいなかった。これらの実験結果は、ライノウイルス感染の主要な伝播経路がエアロゾルであることを示す強力なエビデンスである。だが、同様の実験をSARS-CoV-2で行うことは非倫理的と見なされるだろう。命が危険にさらされるからだ。
Cowlingは、「間接接触感染はおそらく稀でしょうが、その可能性を完全には排除できません。分かる範囲ではそれほど多くない、というだけなのです」と言う。
環境中に残存するSARS-CoV-2のRNA量に基づいたウイルス伝播の推定値は、これを裏付けているようだ。2020年4〜6月、当時タフツ大学(米国マサチューセッツ州メドフォード)に所属していた環境工学者Amy Pickeringの研究チームは、マサチューセッツ州サマービルで、駅や店舗のドアハンドル、横断歩道のボタン、ATMのキーパッドなど、人々が頻繁に触れる屋内外のさまざまな場所で物体の表面の拭き取り検査を1週間隔で繰り返し行った。その結果、検出されたSARS-CoV-2のRNA濃度と、対象表面に人々が触れた頻度などに基づいたリスク評価から、SARS-CoV-2の間接接触感染のリスクは最大で1万分の5未満と推定された10。中央推定値で比較すると、SARS-CoV-2の間接接触感染のリスクは同ウイルスのエアロゾルを介した感染のリスクよりも低く、また、インフルエンザ(主に飛沫とエアロゾルを介して感染する)やノロウイルス(間接接触感染が確認されている)の間接接触感染リスクよりも低かった。
現在、カリフォルニア大学バークレー校(米国)に所属しているPickeringは、「間接接触感染も起こり得ますが、稀なようです」と語る。「多くの要素が全てそろって初めて可能になる伝播様式なのです」。
パンデミックの初期に世界各国および米国各州の政府が行った非医薬品介入を比較した研究では、SARS-CoV-2の伝播を減らす効果において、建物や設備の共用部などの清掃と消毒が最も効果が低い部類に位置付けられたが11、その理由は、間接接触感染が稀なことで説明できる可能性がある。これに対し、最も効果が高かったのは、ソーシャルディスタンスの確保や、ロックダウンなどの移動制限だった。
乱雑なデータ
こうした結果に、研究者たちは、SARS-CoV-2の伝播様式を取り巻く乱雑な疫学データの整理を余儀なくされている。COVID-19感染の症例に関してはパンデミックが始まってから数百編もの論文が発表されているが、そのうち、物体の表面を介したSARS-CoV-2伝播の報告は、「鼻汁口伝播(snot–oral transmission)」と表現された伝播経路に関する1編のみと考えられている。この論文によれば、中国広州市の集合住宅で、COVID-19に感染していた住民が手で鼻をかみ、その手でエレベーターのボタンを押した。そして数分後、別の住人が同じボタンに触れ、直後に爪楊枝で歯の掃除をしたことで、ボタンに付着していたSARS-CoV-2が口に入り、この住民はその後COVID-19を発症したという12。だが、それぞれの患者のSARS-CoV-2ゲノムの塩基配列を確認しなければ、未知の第三者が感染を媒介した可能性は排除できないだろう。
他には、同じく中国広州市の路上で、SARS-CoV-2を含む汚水を踏んだ8人が、靴などを介して家屋にウイルスを持ち込んだ結果、感染したとされる報告があるだけである13。
このように、間接接触感染の報告例が極めて少ないにもかかわらず、中国当局は輸入冷凍食品の包装の消毒を求める決定をした。このガイドラインの改訂が行われたのは、詳細には報じられていない、とある報告の後だった。それは、中国北部の港湾都市、天津市で、冷凍食品を扱う事業の労働者が、ドイツから輸入された冷凍豚肉のSARS-CoV-2に汚染された包装を取り扱った後で感染したという報告である。しかし、WHOも他の専門家たちも、このように、フードチェーン(食品の一次生産から消費までの流れ)を介して人々が感染し得るとする主張には異を唱えている。
こうした主張の相違を解決するには、より詳細な調査が必要だとCowlingは言う。誰が誰を感染させたのか、そして、感染が起きた時期に、感染源となった人と新たな感染者とが共に触れた物体や共有した空間はどれなのかを、慎重に追跡する調査である。「家庭であれ職場であれ、場所がどこであっても、何より一番大事なのは、伝播パターンの疫学的な調査なのです」とCowlingは語る。「これまでは、それが十分にできていたとは言えません」。
最大の脅威
COVID-19の症例に関して1年分のデータを手にした研究者たちは、1つ明らかな事実があると話す。それは、一番の懸念材料は物ではなく人である、ということだ。一度に多数の人々が感染する集団感染(クラスター)事象は通常、混雑した屋内空間で発生し、こうした事象から得られたエビデンスは明らかに空気伝播を示していると、Marrは説明する。「クラスター事象を間接接触感染で説明するには、相当複雑なシナリオを作り出さなければなりません」。
物体の表面を介した伝播の可能性も排除はできないため、手洗いは重要だとMarrは語る。だが、物体の表面の消毒に関しては、換気システムを改善したり空気清浄機を設置したりする方がより重要だという。「もしも、既に空気への注意が十分に払われていて、時間と資源に余裕があるとしたら……その時はそうですね、頻繁に手で触れる表面をきれいに拭くことは役立つかもしれません」。
家庭での対策も、もう少し気を楽にして構わないとPickeringは言う。食品や雑貨類を一定期間隔離したり、ありとあらゆる表面を消毒したりするのはやりすぎだ。「かなりの労力を要するはずですが、SARS-CoV-2にさらされるリスクはおそらくそれほど減らないでしょう」とPickering。それよりも、手指の適切な衛生管理と、マスクの着用やソーシャルディスタンスの確保で密な接触を避けることの方が、努力に値するだろう。
WHOは2020年10月20日にガイダンスを改訂し、SARS-CoV-2は「感染者のくしゃみや咳がかかったり、感染者が触れたりした物体、すなわち、テーブルやドアノブ、手すりなど」を介して伝播し得る、と説明している。WHOの広報担当者はNature に対し、「間接接触感染のエビデンスは限定的ですが、環境のウイルス汚染に関する知見は一貫しており、SARS-CoV-2感染者の近くでSARS-CoV-2のRNAが検出されていることから、間接接触は伝播様式としてあり得ると考えられています」と語った。WHOはまた、「消毒行為はCOVID-19においてウイルス汚染の可能性を下げるのに重要である」ともしている。
Nature はCDCに対しても、間接接触感染のリスクに関する矛盾した説明に関して問い合わせたが、回答はなかった。
保健当局が直面している難題は、間接接触感染の可能性を完全に排除するのが難しいことだとMarrは言う。当局は、人々に「用心するな」と言いたがらないのだ。「起こり得るのですから、するな、とは絶対に言いたくないでしょう。そしてやはり、我々は予防原則に従うべきなのです」とMarr。
進化するエビデンスには反するものの、人々はパンデミックの最初の数カ月を経験したことで、より高いレベルの衛生対策を期待するようになったのかもしれない。ニューヨーク都市圏のMTAが2020年9月下旬から10月上旬に行った乗客を対象としたアンケート調査では、回答者の実に4分の3が、交通機関利用時は清掃と消毒が安心をもたらすと答えた。
Goldmanは、今も外出時の布マスク着用は欠かさないが、汚染された表面を介してSARS-CoV-2に感染する可能性に対しては、特別な予防策は何ら講じていない。「身を守る方法の1つは手洗いです。それは、パンデミックであろうとなかろうと変わりません」とGoldmanは語る。
翻訳:小林盛方
Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 4
DOI: 10.1038/ndigest.2021.210408
原文
COVID-19 rarely spreads through surfaces. So why are we still deep cleaning?- Nature (2021-02-04) | DOI: 10.1038/d41586-021-00251-4
- Dyani Lewis
- Dyani Lewisは、メルボルン(オーストラリア)在住の科学ジャーナリスト。
参考文献
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