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新型コロナウイルス研究注目の論文(3月)

Credit: NIAID

3月30日

南アフリカ型変異株感染で誘導された抗体は複数株を中和できる

南アフリカ共和国で最初に同定されたSARS-CoV-2変異株501Y.V2に感染した人の抗体は、その前に流行していた変異株に対しても有効であることから、501Y.V2に対するワクチンは幅広い変異株に対して有効である可能性がある。

南アフリカ共和国でのCOVID-19の第1波は、2020年7月にピークを迎えた。第2波のピークは2021年1月で、最近発見された変異株501Y.V2(別名B.1.351)が主な原因だった。501Y.V2は、その前に流行していた変異株への抗体に対して部分的に耐性があるため、現行のワクチンの有効性への懸念が生じている。

クワズールー・ナタール大学(南アフリカ・ダーバン)のTulio de Oliveiraと、同じくダーバンにあるアフリカ健康研究所(Africa Health Research Institute)のAlex Sigalらは、同国の第1波または第2波の期間中にSARS-CoV-2に感染した人々の血漿について調査した(S. Cele et al. Nature https://doi.org/f362; 2021)。研究チームは培養細胞を使い、血漿による501Y.V2の感染阻止効果を調べたところ、第2波の患者の血漿では第1波の患者の血漿に比べて15倍も高いことを明らかにした。

科学者たちは、第2波の患者の血漿には第1波の変異株を中和する効果があることも明らかにした。その効果は、ファイザー社とビオンテック社が共同開発したワクチンと同様であった。この結果は、501Y.V2に対応できるように改良したワクチンには、それ以前の変異株に対しても効果があることを示唆している。

3月30日

「現実世界」での研究からワクチンが感染リスクを大幅に低減することが判明

mRNAベースのワクチンの接種を受けた米国の看護師や消防士などの現場で働く労働者を対象とした研究によると、2回のワクチン接種によりSARS-CoV-2への感染リスクが約90%低下することが明らかになった。

モデルナ社やファイザー/ビオンテック社のmRNAベースのワクチンは、COVID-19から人々を守る効果が高いことが臨床試験で示されている。米国疾病対策センター(CDC;米国ジョージア州アトランタ)のMark Thompsonらは、このワクチンがCOVID-19の発症ではなくSARS-CoV-2への感染そのものを防ぐ効果を有するかを知るために、感染リスクが高い仕事に就いている約4000人のウイルス検査の結果を分析した(M. G. Thompson et al. Morb. Mortal. Wkly Rep. https://doi.org/f36s; 2021)。

研究参加者は2020年12月中旬〜2021年3月中旬にワクチン接種を受け、接種後13週間にわたり、週に1回、自分で鼻腔ぬぐい液を採取してウイルス検査を受けた。参加者は、2回目のワクチン接種から2週間後に完全に免疫ができたと見なされた。

分析の結果、2回の接種による感染予防効果は90%で、単回接種の感染予防効果は80%であることが明らかになった。ただし研究者は、ワクチン接種後に感染した参加者は非常に少なかったため、ワクチンが感染を防ぐ効果について何かを厳密に述べることは困難であるとしている。

3月25日

SARS-CoV-2に対する抗体ができると数カ月は持続する

SARS-CoV-2に感染した人の免疫系がウイルスを無効化するために産生する中和抗体は、感染後少なくとも9カ月間は持続するが、全員が検出可能な量の抗体を作るわけではない。

北京協和医学院(中国)のChen Wangらは、COVID-19が最初に大流行した都市である武漢で、無作為に抽出した約3500世帯の9500人以上から血液検体を採取した(Z. He et al. Lancet 397, 1075-1084; 2021)。研究チームは、武漢のロックダウンが解除された後の2020年4月に1回、6月に1回、10〜12月に1回と、合計3回の検体採取を行い、SARS-CoV-2に対する抗体の有無を調べた。抗体があれば、その人はSARS-CoV-2に感染していたことになる。

分析の結果、SARS-CoV-2に感染していた人は全体のわずか7%で、そのうちの80%以上が無症状だった。また、感染者のうち、調査期間中に検出可能な量の中和抗体を産生していた人の割合は約40%だった。

研究者らは、武漢市民の大半が依然としてSARS-CoV-2に感染する可能性があり、集団免疫を達成するためには大規模なワクチン接種キャンペーンが必要であると結論付けている。

3月24日

SARS-COV-2感染者の細胞内で複数の系統のウイルスが混ざり合っている

異なる系統のSARS-CoV-2のゲノムが組換えによって混ざり合っていることが確認された。

組換えは、1つの細胞が複数の系統のウイルスに感染し、その遺伝物質が複製される際に混ざり合うことで起こる。コロナウイルスでは、こうした組換えはよく見られる。エディンバラ大学のBen Jacksonらが英国のSARS-CoV-2の配列データを分析したところ、組換えによって生じた系統がいくつか検出された(B. Jackson et al. Preprint at Virological https://go.nature.com/3d3ffpk; 2021)。

これらはいずれも、急速に広まっているB.1.1.7系統と、英国内で流行している他の系統との組換えの産物であった。22の特徴的な変異を持つB.1.1.7系統は、英国では2020年末から優勢になり始めた。研究チームは、検出された8系統のうち4系統が既にヒト-ヒト感染している証拠を見つけた。

組換え系統のうちの6つは、B.1.1.7変異株が持つスパイク遺伝子(ウイルスが宿主の細胞に侵入する際に用いるタンパク質をコードする遺伝子)を持っている。このバージョンのスパイク遺伝子には、変異株の伝播性を高める基礎となり得る変異がある。しかし研究者らは、組換えによって重大な変化を遂げた系統が生じたという証拠はなく、組換え系統が見つかったことがパンデミックの推移について何かを意味することもないと強調する。なお、この知見はまだ査読を受けていない。

3月19日

高齢者はSARS-CoV-2に再感染するリスクが高い

デンマークで実施された数百万件のコロナウイルス検査の結果を分析した結果、SARS-CoV-2に自然感染した人のほとんどが再感染することはないが、65歳以上の高齢者では、この防御機能が著しく弱いことが示唆された。

デンマーク国立血清研究所(コペンハーゲン)のSteen Ethelbergらは、国内で実施されたSARS-CoV-2のPCR検査のデータを調べた(C. H. Hansen et al. Lancet https://doi.org/gjg8qk; 2021)。PCR検査は、SARS-CoV-2への感染を検出するための最高水準の手法である。デンマークでは2020年の3〜5月と9〜12月に感染者が急増したが、研究チームは、この2つの時期の一方または両方にコロナウイルス検査で陽性となった人々に着目した。

分析の結果、最初の感染から約6カ月後の時点での再感染に対する防御率は約80%で、男女の再感染率に有意差はなかった。しかし、65歳以上の高齢者では防御率は47%まで低下しており、このグループにはワクチンを優先的に接種する必要があることが強調された。

3月17日

ワクチンのSARS-CoV-2変異株への効果に生じた懸念

代表的なCOVID-19ワクチンは、南アフリカ共和国で最初に確認されたSARS-CoV-2変異株に対しては、限定的な防御にしかならない可能性がある。

2020年末に南アフリカ共和国で最初に見つかったSARS-CoV-2変異株B.1.351(別名501Y.V2)については、ノババックス社のワクチンとジョンソン・エンド・ジョンソン社のワクチンの効果が低いことが判明している。一方、オックスフォード大学(英国)とアストラゼネカ社が開発したワクチンの臨床試験を南アフリカ共和国で実施していたウィットウォーターズランド大学(南アフリカ・ヨハネスブルグ)のShabir Madhiらは、図らずも、この変異株の影響を検証することになった(S. A. Madhi et al. N. Engl. J. Med. https://doi.org/f2rd; 2021)。臨床試験にはHIV検査で陰性だった18~64歳の約2000人が参加し、ワクチン接種群とプラセボ群に無作為に割り付けられた。

ワクチンは、軽症または中等症のCOVID-19の発症については合わせて21.9%の予防効果しかなく、中でもB.1.351変異株によるものについてはわずか10.4%の予防効果しかなかった。どちらのグループにも重症化した人や入院した人はおらず、臨床試験の規模が小さかったことから、研究者らは「B.1.351に対するワクチンの有効性は60%以上ではなかった」とだけ結論付けている。

3月16日

変異株B.1.1.7が猛威を振るった原因はたった1つの変異にある可能性

最初に英国で発見されたコロナウイルス変異株が、英国内だけでなく世界中で優勢になった理由は、たった1つの変異で説明できるかもしれない。

2020年末、研究者らは、イングランド南東部でB.1.1.7という変異株が急速に広まっていることに気付いた。現在、英国のCOVID-19感染者のほぼ全員がB.1.1.7に感染しており、欧州や北米などでもB.1.1.7の割合は着実に増加している。B.1.1.7のスパイクタンパク質には8カ所の変化があるが、どの変異がこの急速な広まり方の原因になっているかは不明である。

この点をよりよく理解するため、テキサス大学医学部(米国ガルベストン)のPei-Yong ShiとScott Weaverらは、B.1.1.7のスパイクタンパク質の8つの変異のうちいずれか1つを持つSARS-CoV-2株と、8つの変異全てを持つSARS-CoV-2株を多数作製した(Y. Liu et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/f2js; 2021)。N501Yと呼ばれる変異を持つ株は、他の株に比べて、ハムスターの上気道やヒトの気道細胞での複製が速いだけでなく、動物間で伝播しやすかった。

研究者らは、B.1.1.7の挙動にはN501Y以外の変異も影響を及ぼしている可能性があるが、N501Yが感染に及ぼす影響が突出していることから、B.1.1.7以外の変異株においてもこれをよく観察する必要があるとしている。なお、この知見はまだ査読を受けていない。

3月12日

SARS-CoV-2と近縁のウイルスを持つコウモリが狭い範囲の地域に生息

中国南部の雲南省に生息するコウモリからは現在のパンデミックを引き起こしたウイルスと近縁のコロナウイルスが単離されているが、今回新たに別の類似ウイルスが単離された。

山東第一医科大学・山東省医学科学院(中国・泰安)のWeifeng Shiらは、2019年5月〜2020年11月に雲南省の約1100ヘクタール(サンフランシスコ市の面積の10分の1弱)の狭い地域に生息する23種のコウモリを342頭捕獲し、糞と尿の検体302点と口腔スワブ検体109点を採取して調べた(H. Zhou et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/gh73mk; 2021年)。なお、検体採取はコウモリが生きている状態で実施し、採取後に全て逃がした。

研究チームは、検体に含まれていた24種のコロナウイルスのゲノム塩基配列を決定した。そのうちの4種はSARS-CoV-2と近縁の新種のウイルスであった。中でも、キクガシラコウモリ類の一種であるRhinolophus pusillusから単離されたウイルスの1つは、ゲノムの94.5%が今回のパンデミックを引き起こしたSARS-CoV-2と共通しており、現時点で2番目にこのウイルスに近い関係にあることが分かった。最も近縁なのは、2013年に雲南省の別のキクガシラコウモリ類R. affinisから単離されたRATG13というコロナウイルスで、ゲノム情報の96%がSARS-CoV-2と共通である。

この結果は、SARS-CoV-2と近縁のウイルスが今もコウモリ集団の中で循環しており、一部の地域ではその保有率が高いことを示唆していると研究者らは言う。なお、この論文はまだ査読を受けていない。

3月11日

英国変異株の致死率は従来株に比べて高い

SARS-CoV-2のB.1.1.7変異株に感染した人は、年齢、性別、基礎疾患の有無とは無関係に、流行中の他の変異株に感染した人よりも死亡するリスクが高い。

ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のDaniel Grintらは、2020年11月16日〜2021年1月11日に英国のSARS-CoV-2検査で陽性と判定された18万4786人のカルテを調べた。対象者のうち867人が2021年2月5日までに死亡している(D. Grint et al. Preprint at medRxiv https://doi.org/fzwq; 2021)。

研究者らは、集団内で陽性と判定されてから1カ月以内に死亡する人の数が、それ以前に流行していたウイルスで3人であるとしたら、B.1.1.7変異株では5人になることを明らかにした。死亡リスクは年齢および基礎疾患の存在とともに増加し、男性の死亡リスクは女性よりも高い。

英国で初めて検出されたB.1.1.7は、現在、英国の変異株の中で優勢となっており、欧州全体に広がっている。研究者らは、抑制手段やワクチンがなければ、B.1.1.7変異株はこれまで流行していたウイルス株よりも致死的なパンデミック(世界的大流行)を引き起こす可能性があるとしている。

3月10日

懸念されている変異株がより良いワクチンへの希望をもたらす

人がウイルスに感染すると、免疫反応が誘導されて抗体ができる。現在急速に広がっているSARS-CoV-2変異株への感染によって作られる抗体は、複数の変異株を中和できることが明らかになった。

SARS-CoV-2のB.1.351変異株は、2020年末に南アフリカ共和国で最初に発見された。科学者らはその後、B.1.351変異株を再感染と結び付け、パンデミックの初期に流行したSARS-CoV-2株に対するワクチンが、この変異株に対しては効果が低いことを示唆する研究結果も得ている。

南アフリカ国立感染症研究所(ヨハネスブルク)のPenny Mooreらは、B.1.351に感染して入院した89人の患者から抗体を採取し、その抗体反応を評価した(T. Moyo-Gwete et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/fzq5; 2021)。研究チームは、研究参加者の抗体レベルが、初期の株に感染した人々の抗体レベルと同程度であることを見いだした。

研究チームは次に、B.1.351に感染した人々から採取した抗体が、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質を用いて細胞に感染するように改変したHIVを不活化できるかどうか試した。抗体は、B.1.351に含まれるスパイクタンパク質を組み込んだウイルス、初期のウイルス株、およびブラジルで発見された変異株P.1を不活化することができた。

著者らはこの結果について、B.1.351の遺伝子配列に基づくワクチンが、人々を複数のコロナウイルス株から守れる可能性を示唆していると述べている。なお、この論文はまだ査読を受けていない。

3月5日

T細胞は蔓延するSARS-CoV-2変異株から人々を救うかもしれない

SARS-CoV-2の新しい変異株は、免疫系において重要な役割を果たすT細胞からは逃れられないと見られることが、実験室での研究により示唆された。

最近発見されたSARS-CoV-2変異株の中には、ワクチンの接種や過去の感染に反応して産生された抗体の一部から逃れられるものがあり、従来株に対するワクチンは変異株に対して効果が低いのではないかと懸念が生じている。ラホヤ・アレルギー免疫研究所(米国カリフォルニア州)のAlessandro SetteとAlba Grifoniらは、こうした変異株の変異が、ウイルスが白血球の一種であるT細胞(感染症の重症度を下げるために特に重要な働きをする免疫系の構成要素)から逃れることを可能にしているかどうかを調べた(A. Tarke et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/gh6tkp; 2021)。

研究チームは、SARS-CoV-2の従来株への感染から回復したか、このウイルス株に対するmRNAワクチンを接種したボランティアからT細胞を採取した。次に、南アフリカ共和国で最初に確認されたB.1.351変異株を含む4種類の新しい変異株のタンパク質断片をT細胞が認識できるかどうかを調べた。

その結果、変異の影響を受けていないタンパク質断片のおかげで、ボランティアのT細胞のほとんどが4種類全ての変異株を認識できることが明らかになった。この結果は、T細胞がこれらの変異株を標的にできることを示唆している。

3月4日

COVIDにより大きな被害を受けた都市を新たに襲う変異株

ブラジルのマナウスで検出されたSARS-CoV-2変異株が、この都市での再感染やCOVID-19の第2波を引き起こしている可能性がある。

パンデミックの第1波の際、マナウスは世界で最も高い感染率を記録した都市の1つとなった。ある見積もりでは、2020年10月までに住民の3分の2が感染したと推定されており、一部の研究者は、集団免疫の確立により新規の感染は減少していくのではないかと予想していた。しかし、マナウスの入院患者が増加していた2021年1月にP.1という新しい変異株が見つかり、数件の再感染と関連付けられた。

この変異株の特徴を明らかにするため、ロンドン大学インペリアルカレッジのNuno Fariaらは2020年11月〜12月にマナウスで採取した184人分の検体に含まれるウイルスゲノムを分析した(N. R. Faria et al. Preprint at https://go.nature.com/3sor3jj; 2021)。この変異株にはSARS-CoV-2のタンパク質を変化させる17の変異があり、伝播性の増加や免疫逃避と関連付けられているスパイクタンパク質の変化も含まれている。

研究者らは、P.1の広がりと、この変異株がマナウスでの第2波に及ぼしていると考えられる影響をモデル化することで、P.1の伝播性は他の系統に比べて1.4~2.2倍高く、過去の感染によって誘導された免疫の一部を逃れることができると推定している。この論文は、まだ査読を受けていない。

3月3日

学校に通う子どもが家庭にCOVIDを持ち帰る

学校に通う子どもと同居する成人はCOVID-19を発症するリスクが高まるが、それは学校が適切な抑制手段を取っていない場合に限られることが、米国で実施された大規模なオンライン調査で明らかになった。

ジョンズホプキンス大学(米国メリーランド州ボルティモア)のJustin Lesslerらは、2020年末から2021年初頭にかけてFacebook上でアンケート調査を行い、就学年齢の子どもと暮らす50万人以上の成人が回答を寄せた。回答者の約半数は、子どもが全日または時間を短縮しての対面授業を受けていた(J. Lessler et al. Preprint at medRxiv https://doi.org/fxv6; 2021年)。

研究者らは、対面授業のある学校に通っている子ども(特に高校生)と同居している成人は、COVID-19の症状を報告したり、SARS-CoV-2の検査で陽性になったりする可能性が高いことを見いだした。けれどもまた、生徒と教師にマスクの着用を要請する、保護者の校内への立ち入りを禁止する、机の間隔を広げるなどのリストの中から7つ以上の対策を取ることで、学校はそのリスクを完全になくせることも明らかにした。なお、この論文はまだ査読を受けていない。

3月2日

COVID-19ワクチンの接種は1回でも無症候性感染を防ぐことができる

代表的なCOVID-19ワクチンの接種を1回だけ受けた医療従事者のSARS-CoV-2への無症候性感染率は、接種を受けていない医療従事者の4分の1だった。

ケンブリッジ大学(英国)のMichael Weekesらは、COVID-19の症状がない英国の医療従事者が受けた約8900回のSARS-CoV-2検査の結果を分析した(M. Weekes et al. Preprint at Authorea https://doi.org/fxkd; 2021)。ファイザー社(米国ニューヨーク)とビオンテック社(ドイツ・マインツ)が共同開発したワクチンの1回目の接種から12日以上経過した時点で検査を受けた研究参加者の感染率はわずか0.2%だった。一方、ワクチン接種を受けていない研究参加者の感染率は0.8%だった。

研究チームは、統計的な有意性は認められなかったものの、ワクチン接種から十分な時間が経過してからSARS-CoV-2感染が確認された参加者の体内のウイルス濃度は、ワクチン接種を受けていない感染者に比べて低い傾向があることも指摘している。この結果が裏付けられれば、ワクチン接種を受けた医療従事者のうちごく少数が無症候性感染したとしても、ワクチン接種を受けていない医療従事者が感染した場合に比べて他の人にウイルスを伝播する可能性が低いことが示唆される。なお、この論文はまだ査読を受けていない。

翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 4

DOI: 10.1038/ndigest.2021.210414

原文

Coronavirus research updates
  • Nature (2020-05-22) | DOI: 10.1038/d41586-020-00502-w