Where I Work

Clarice Aiello

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 3 | doi : 10.1038/ndigest.2021.210356

原文:Nature (2020-08-24) | doi: 10.1038/d41586-020-02463-6 | Bridging the gap between biologists and physicists

Josie Glausiusz

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Nature by Rocco Ceselin

私は量子生物学という新興分野の研究室を主宰しています。量子生物学は、光合成や呼吸、視覚などの生物過程に量子力学の法則がどのように介在しているかを研究する学問です。例えば、渡り鳥は、地球の磁場を感知するセンサーとして機能するタンパク質を利用して渡りをすると考えられており、細胞内の代謝調節の基礎には量子力学的効果が介在している可能性があります。

私の研究室では、ヒトの細胞や鳥の網膜細胞を1個ずつ観察し、磁場に対する細胞の生理学的反応を制御する仕組みを解明するために、強力な顕微鏡を製作しています。

私はブラジル出身で、2019年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校(米国)に主任研究員としてやってきました。コロナ禍で閉鎖されていた大学の研究室のほとんどが再開しましたが、今のところは、1つの実験室に一度に入れる人数は1人だけで、常にマスクを着用していなければなりません。私のチームの2人のポスドクは別々の実験室で作業をしていて、光学系を組み立て、レーザーを製作し、鏡を並べ始めています。私自身は、事前に決めておいた時間にしか入室できません。

今回のパンデミックで自宅で研究や授業をしなければならなくなり、50インチのコンピューター用ディスプレーを買い足しました。2020年3月から、2台のコンピューターに接続した2台のディスプレーを使ってZoom講義をしています。片方のディスプレーはZoom用、もう片方はグラフィックやスライド用です。私が座っている日本式の座椅子も、Zoom講義のために新たに購入したものです。平時とは違うことを示すために、床に座って講義をするという身体的な印が欲しいと思ったからです。実際、座椅子に座っていると、地に足が着いたような感じがします。

私は、生物学者と物理学者の隔たりを埋めることに心から情熱を注いでいます。この2つのグループの仲立ちとなる分野で働き、パンデミックの最中に新しい研究室作りに協力してくれている研究チームのメンバーには、本当に感謝しています。彼らの大胆さを見ていると、今日もがんばらなければと毎日気力が湧いてきます。

(翻訳:三枝小夜子)

Clarice Aielloは、 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(米国) 量子生物工学(QuBiT)研究室の量子工学者

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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