GPCRのアイソフォームが組み合わさって多様なシグナル伝達が生み出される
Gタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーは、ヒトにおける最大の細胞表面受容体タンパク質ファミリーで、800を超える受容体が属している1。GPCRは、細胞外の要因による活性化に応じて細胞内のシグナル伝達経路を開始させる。つまりGPCRによって細胞の環境への応答や環境との相互作用が決定され、生理学的性質のほぼ全ての面に影響が及ぶのだ。そのため、GPCRは薬剤標的として非常に重要視されていて、米国食品医薬品局(FDA)に承認された少なくとも475の薬剤がGPCRを標的としている2。しかし、多くのGPCRには複数のアイソフォーム、つまりバリアントがあるため、それらに結合できる薬剤を見つけ出す試みは容易ではない。このほどMRC分子生物学研究所(英国ケンブリッジ)のMaria Marti-Solanoら3は、ヒトにおけるGPCRアイソフォームの構造と発現のカタログを作成し、Nature 2020年11月26日号650ページで報告している。この情報源は、GPCRdbと呼ばれるGPCRデータベースに追加されていて、科学コミュニティーが利用できるように既に公開されている4(https://gpcrdb.org/protein/isoforms)。
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翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2021.210246
原文
Isoforms of GPCR proteins combine for diverse signalling- Nature (2020-11-26) | DOI: 10.1038/d41586-020-03001-0
- Joshua C. Snyder & Sudarshan Rajagopal
- Joshua C. Snyder & Sudarshan Rajagopalは、デューク大学医学系大学院(米国ノースカロライナ州ダラム)に所属。
参考文献
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