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DNAが紐解く1万1000年にわたるイヌの進化史
人類の歴史はイヌの歴史でもある。ユーラシア各地のイヌのゲノムを多数解析した研究から、程度の差こそあれ、イヌの移動の歴史が人類の移動の歴史と重なっていたことが明らかになった。イヌの進化史については、これまで複数の研究で、家畜化の時期が1万年以上前であったことが示唆されていた(2013年4月号「イヌの家畜化のカギは残飯だった?」、2016年8月号「イヌは2度生まれた」参照)。今回、Science 2020年10月30日号で報告された研究1では、これを裏付けるように、イヌが1万1000年前には既に家畜化されて世界各地に広がっていたことが示された。また、人類の大規模移動がイヌのゲノムにほとんど痕跡を残さなかった事例や、逆にイヌのみに変化が見られた年代も明らかになった。ただしこの論文では、「オオカミはいつどこで家畜化され、イヌになったのか」という、長年研究者たちを悩ませてきた問題の結論は導き出されていない。
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翻訳:小林盛方
Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2021.210208
原文
Ancient dog DNA reveals 11,000 years of canine evolution- Nature (2020-10-29) | DOI: 10.1038/d41586-020-03053-2
- Ewen Callaway
参考文献
- Bergstrom, A. et al. Science 370, 557–564 (2020).