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量子コンピューターの開発レースに新たな動き

真空チャンバー内に置かれた、ハネウェル社の量子コンピューターのイオントラップ。 Credit: HONEYWELL QUANTUM SOLUTIONS

量子計算は、この10年で学術研究のテーマから一大ビジネスへと大きな変貌を遂げたが、その過程で脚光を浴びてきた方式は主に1つだけだった。IBM社やインテル社などの巨大テクノロジー企業が採用している、微小な超伝導閉回路(超伝導ループ)を用いる手法である。2019年10月にはグーグル社(米国カリフォルニア州マウンテンビュー)が、超伝導プロセッサーを用いて世界で初めて「量子優位性」を達成したと報告し1、注目を集めた。量子優位性とは、量子コンピューターの性能がある特定の計算タスクにおいて最先端の古典的コンピューターの性能を上回ることを意味する。けれども最近になって、電場に捕捉されたイオンを量子ビット(キュービット)として用いる、「イオントラップ方式」と呼ばれるまた別の手法が追い上げを見せている。

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翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 2

DOI: 10.1038/ndigest.2021.210209

原文

Quantum computer race intensifies as alternative technology gains steam
  • Nature (2020-11-17) | DOI: 10.1038/d41586-020-03237-w
  • Elizabeth Gibney

参考文献

  1. Arute, F. et al. Nature 574, 505–510 (2019).
  2. Monroe, C. et al. Phys. Rev. Lett. 75, 4714 (1995).
  3. Pino, J. M. et al. Preprint at https://arxiv.org/abs/2003.01293 (2020).