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女王バチの生殖不全を診断

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 2 | doi : 10.1038/ndigest.2021.210238a

精子保存器官の体液を分析してストレス要因を特定できる。

ミツバチのコロニーの運命は、女王バチが貯蔵している精子にかかっている。 | 拡大する

RIORITA/E+/GETTY

ミツバチの女王は一生のうち、ある短い一時期に交尾するだけで、その精子を体内の受精嚢に保存しておいて後で使う。だが、女王がその精子を健全な状態に保つのに失敗すると、コロニーは崩壊するだろう。この「女王機能不全(queen failure)」は、米国で起きているハチの個体数減少の大きな原因となっている。この機能不全の原因を特定するのは難しい。女王バチは明らかな症状を示さないからだ。だが最近の研究は、原因に迫る方法を示している。養蜂家にとって貴重な診断ツールにつながるかもしれない。

コロニーで生殖できる雌は女王バチだけだ。女王バチが、雄バチと働きバチの両方を生み出す卵を産むことができない場合には、コロニーの個体数が急落する、と今回の研究論文の筆頭著者であるノースカロライナ州立大学(米国)のハチ研究者Alison McAfeeは言う。これは人間にとっても重大事だ。ブルーベリーやリンゴなどの作物の花粉媒介者として「ミツバチの農業への貢献は160億ドルから200億ドルの経済価値があるのです」と、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)にも在籍するMcAfeeは言う。さらに気候変動がミツバチを脅かしており、以前の研究では、高温もコロニー喪失に関連していることが示されている。

受精嚢の体液がストレスによって変化

McAfeeらは女王機能不全を調べるために、「分子的な病理解剖」を行った。女王バチを極端な高温や極端な低温、殺虫剤に曝露した後、精子を保存する受精嚢の内部の体液を分析した。この結果、それぞれのストレス要因が、受精嚢の体液中の別々のタンパク質の増加と関連していることが分かった。

>研究チームは各ストレス要因の指標として、増加量の最も多い2種類のタンパク質を同定した。ブリティッシュコロンビア州の養蜂家から寄贈された機能不全の女王バチでこれらのタンパク質を調べたところ、殺虫剤と極端な高温への曝露を示すタンパク質は見つかったが、極端な低温に対応するタンパク質はなかった。この研究は、BMC Genomics に報告された。

(翻訳協力:粟木瑞穂)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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