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ビッグバン直後の原子核反応を地下で測定
宇宙論研究者は、現在の宇宙の観測結果から宇宙の歴史を推測し、宇宙の最初期に働いたエキゾチックな物理学の情報を収集しようと努めている。宇宙の歴史において非常に重要な時期が、ビッグバン元素合成の時期だ。ビッグバン元素合成は、最も軽い元素たちの原子核を作った過程であり、ビッグバンの約1秒後に始まった。この時期は、既知の物理法則が実験的に探ることが可能な「化石」を残した、最も早い(宇宙の始まりに近い)時期だ1。イタリア国立原子核物理学研究所(INFN)のViviana Mossaらは、ビッグバン元素合成に関する私たちの理解をより精密にする、原子核反応測定結果をNature 2020年11月12日号210ページで報告した2。この測定により、宇宙の「普通の物質」の量を正確に見積もることが可能になり、初期宇宙の理解が深まるだろう。
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翻訳:新庄直樹
Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 2
DOI: 10.1038/ndigest.2021.210239
原文
Primordial element production studied beneath a mountain- Nature (2020-11-12) | DOI: 10.1038/d41586-020-03117-3
- Brian D. Fields
- Brian D. Fieldsは、イリノイ大学(米国)の天文学科と物理学科、および同大学宇宙先端研究イリノイセンターに所属。
参考文献
- Pitrou, C., Coc, A., Uzan, J-P. & Vangioni, E. Phys. Rep. 754, 1–66 (2018).
- Mossa, V. Nature 587, 210–213 (2020).
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- Fields, B. D. Annu. Rev. Nucl. Part. Sci. 61, 47–68 (2011).
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