骨格の老化の基盤となる幹細胞
加齢に伴い骨密度は低下するが、老化が骨量減少にどう関与しているかは分かっていなかった。 Credit: CreVis2/iStock/Getty
老化は、骨量減少や骨格の脆弱化を引き起こす重要なファクターである。老化に伴って起こる骨量減少は、多くの分子過程や細胞過程の関与を反映している。そのため、閉経後の女性に見られるエストロゲン減少に伴う骨量減少より、機構の解明が難しいとされてきた1–3。しかし、骨芽細胞と呼ばれる骨形成細胞を生み出す、骨格幹細胞(SSC)や他の関連する前駆細胞集団を特定する手掛かりが得られたことで4,5、老化が骨格細胞に及ぼす影響についての研究が盛んに行われるようになっている。このほどスタンフォード大学医学系大学院(米国カリフォルニア州)のThomas H. Ambrosiら6は、老化に伴うSSCの機能の変化が、どのように骨量減少や骨格の再生不全に関与するのかを明らかにし、Nature 2021年9月9日号256ページで報告している。
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翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 12
DOI: 10.1038/ndigest.2021.211240
原文
A stem-cell basis for skeletal ageing- Nature (2021-08-11) | DOI: 10.1038/d41586-021-02118-0
- Matthew B. Greenblatt & Shawon Debnath
- Matthew B. Greenblatt、Shawon Debnathは、共にワイルコーネル医科大学(米国ニューヨーク)に所属。
参考文献
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