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密猟がアフリカゾウの牙にもたらした遺伝的変化

牙を持たないアフリカゾウの雌とその仔ゾウ。象牙目的の密猟が横行していた地域では、牙のない個体が有利だった。 Credit: EcoPic/iStock/Getty

象牙目的の乱獲が深刻だった地域では、アフリカゾウ(Loxodonta africana)が「牙なし」へと進化しつつあることが、モザンビークで行われた遺伝学的研究で明らかになった。この研究は、Science 2021年10月22日号で発表された1。牙なしの形質は雌でしか見られず、研究チームはこれが、この形質をもたらす遺伝子が性染色体であるX染色体上に存在し、その変異が雌では顕性(優性)形質である一方、雄では致死性となるためと結論している。この研究結果は、同国でのゾウ個体群の回復に影響してくる可能性がある。

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翻訳:小林盛方

Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 12

DOI: 10.1038/ndigest.2021.211206

原文

Ivory hunting drives evolution of tuskless elephants
  • Nature (2021-10-21) | DOI: 10.1038/d41586-021-02867-y
  • Nicola Jones

参考文献

  1. Campbell-Staton, S. C. et al. Science 374, 483–487 (2021).
  2. Coltman, D. W. et al. Nature 426, 655–658 (2003).
  3. Pigeon, G., Festa-Bianchet, M., Coltman, D.W. and Pelletier, F. Evol Appl 9, 521–530 (2016).
  4. Allendorf F. W. and Hard J. J. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 106 (Supplement 1), 9987–9994 (2009).