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暗闇に浮かび上がった1つ1つの化学反応
夜空に輝く壮大な天の川を余すことなく堪能したいなら、都会の光害を避け、月の出ていない(場合によってはロマンチックな)夜を選ぶべきだろう。これと全く同じ道理は、規模において対極をなす、顕微鏡観察にも当てはまる。すなわち、薄暗い対象は、真っ暗闇の環境の方がはるかに観察しやすいのだ。浙江大学(中国)のJinrun Dongら1はこのたび、このシンプルだが説得力のある考え方を適用して、溶液中の個々の化学反応で放出された光子の1つ1つを直接撮像することのできる光学的方法を開発し、Nature 2021年8月12日号244ページで報告した。この方法は、従来の単一分子顕微鏡法で用いられている蛍光に基づく手法とは概念的に異なり、光子の放出につながる励起過程が電気化学と化学反応性によって制御されるため、光の照射を必要としない。Dongらは、この撮像方法で実際に生細胞の超解像顕微鏡観察を行い、その有用性を実証した。
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翻訳:藤野正美
Nature ダイジェスト Vol. 18 No. 11
DOI: 10.1038/ndigest.2021.211138
原文
A microscopy technique that images single reaction events in total darkness- Nature (2021-08-12) | DOI: 10.1038/d41586-021-02098-1
- Frédéric Kanoufi & Neso Sojic
- Frédéric Kanoufiはパリ大学(フランス)、 Neso Sojicはボルドー大学(フランス)に所属
参考文献
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