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ポリネシア人ゲノムにアメリカ先住民との交流の証拠

イースター(ラパ・ヌイ)島の石像。 Credit: Andres Moreno-Estrada

ノルウェー人探検家トール・ヘイエルダール(Thor Heyerdahl)は、古代のポリネシア人が欧州人と出会う前にアメリカ先住民と接触していたという説を提唱したが、これまで検証できていなかった。現在までのところ、ポリネシアの一部の島に住んでいる人々のゲノムにはアメリカ先住民の血統の痕跡が認められており、古代の島民が何百年も前に南米出身者と出会って混血が生じたことが示唆されている。その接触は、イースター島(ラパ・ヌイ島とも呼ばれる)で起こった可能性が極めて高いと考えられていた。そこが南米に最も近いからだ。しかし、このほどNature 2020年7月23日号572ページに掲載された研究1は、古代のポリネシア人がアメリカ先住民と接触していたという古くからの未検証説を支持するだけでなく、そうした出会い、もしかするとたった1回の交わりが、大陸から数千km離れた島で起こったことを示唆している。

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翻訳:小林盛方

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 9

DOI: 10.1038/ndigest.2020.200913

原文

Ancient voyage carried Native Americans’ DNA to remote Pacific islands
  • Nature (2020-07-08) | DOI: 10.1038/d41586-020-02055-4
  • Ewen Callaway

参考文献

  1. Ioannidis, A. G. et al. Nature https://doi.org/10.1038/s41586-020-2487-2 (2020).
  2. Roullier, C., Benoit, L., McKey, D. B. & Lebot, V. Proc. Natl Acad. Sci. USA 110, 2205–2210 (2013).
  3. Moreno-Mayar, J. V. et al. Curr. Biol. 24, 2518–2525 (2014).
  4. Fehren-Schmitz, L. et al. Curr. Biol. 27, 3209–3215 (2017).
  5. Posth, C. et al. Nature Ecol. Evol. 2, 731–740 (2018).