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100%に近い効率で水を分解する光触媒
環境活動家グレタ・トゥンベリが2018年8月に始めた「未来のための金曜日」運動により、地球温暖化を防ぎ、化石燃料に代わる環境に優しいエネルギー源を見つける必要性を多くの人々が意識するようになった。しかし、人々の意識は急速に進んだものの、費用対効果の大きい技術的解決策の探索は急には進まなかった。水素は、燃焼すると純粋な水ができるだけだから、環境に優しい燃料だ。再生可能なエネルギー源を使って水素を作ることができたら、水素は有望で持続可能なエネルギーの運び手の1つになる。信州大学先鋭材料研究所特任教授の高田剛らは今回、太陽光を使って水を水素と酸素に分解する触媒の設計で大きな前進を実現し、Nature 2020年5月28日号411ページで報告した1。この成果は、水から水素を作る大規模プロセスの開発を加速する可能性がある。
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翻訳:新庄直樹
Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 8
DOI: 10.1038/ndigest.2020.200842
原文
An almost perfectly efficient light-activated catalyst for producing hydrogen from water- Nature (2020-05-28) | DOI: 10.1038/d41586-020-01455-w
- Simone Pokrant
- Simone Pokrantは、ザルツブルク大学(オーストリア)に所属。
参考文献
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