アルツハイマー病では脂質担体が血液脳関門を破壊する
アルツハイマー病の脳の顕微鏡画像。アミロイドβタンパク質の凝集(黒く染色)が見られる。 Credit: UCSF/Image Source/Getty
アルツハイマー病の最もよく知られた特徴は、誤って折り畳まれたアミロイドβ(Aβ)タンパク質やタウタンパク質の凝集した塊が脳内で見られることである。しかし、Aβとタウの凝集が全てではない可能性があることが認識されてきており、血液脳関門(BBB)の変化も、この神経変性疾患の初期マーカーであることが明らかになっている1。BBBの崩壊の程度が、生じた認知機能障害の程度と相関しているのだ2。だが、BBBが崩壊する原因は分かっていない。このほど、アルツハイマー病の主な遺伝的リスク要因であるアポリポタンパク質E4がBBBの崩壊に関連しているという証拠を、南カリフォルニア大学ケック医学系大学院(米国ロサンゼルス)のAxel Montagneら3がNature 2020年5月7日号71ページで報告している。
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翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 8
DOI: 10.1038/ndigest.2020.200836
原文
Risk factor for Alzheimer’s disease breaks the blood–brain barrier- Nature (2020-05-07) | DOI: 10.1038/d41586-020-01152-8
- Makoto Ishii & Costantino Iadecola
- Makoto Ishii & Costantino Iadecolaは、ワイルコーネル医科大学(米国ニューヨーク州)に所属。
参考文献
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