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ピュリッツァー賞作家が伝授、読ませる論文の書き方

コーマック・マッカーシーの小説『血と暴力の国』を原作とする2007年の映画「ノーカントリー」で、俳優ジョシュ・ブローリンが演じるベトナム帰還兵ルウェリン・モスの後ろ姿。 Credit: ALLSTAR PICTURE LIBRARY/ALAMY STOCK PHOTO

米国の小説家コーマック・マッカーシー(Cormac McCarthy)は、20年前からサンタフェ研究所(ニューメキシコ州)のシニアフェローとして研究所内にオフィスを持ち、執筆活動の傍ら、多くの教職員やポスドクのためにコピー・エディティング(文章の編集)を買って出ている。『ザ・ロード』『血と暴力の国』『ブラッド・メリディアン』など10冊の小説を上梓しているベストセラー作家が、複雑系の学際研究で有名なサンタフェ研究所と深く関わるようになったのは、研究所の設立者の1人である博覧強記の物理学者マレイ・ゲル=マンと1990年代に意気投合したことがきっかけだったという。マッカーシーは、ハーバード大学で女性として初めて終身在職権を持つ理論物理学教授となったLisa Randallや、一般向けの科学書『Scale』の著者である物理学者Geoffrey Westらの著作のエディティングにも協力している。理論生物学者で生態学者であるVan Savageは、2000年にマッカーシーと出会い、大学院生からポスドクまでの約4年間をサンタフェ研究所で過ごした。Savageは、この20年間に出版した科学論文のいくつかで、マッカーシーから編集上の貴重な助言を受けている。2018年の冬の長期休暇はサンタフェ研究所で過ごし、週に一度、マッカーシーとにぎやかに昼食を取っていた。2人はその際、論文執筆に関するマッカーシーの助言を要約し、幅広い科学者に教えられる形にした。今回は、このようにしてまとめた助言を、進化生物学者Pamela Yehの意見と併せて紹介する。マッカーシーが最も重視するのは、文章を簡潔に保ちつつ、説得力ある一貫した物語を語ることだ。それでは、SavageとYehが伝えるマッカーシーの英知の言葉をどうぞ。

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翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 6

DOI: 10.1038/ndigest.2020.200621

原文

Novelist Cormac McCarthy’s tips on how to write a great science paper
  • Nature (2019-09-26) | DOI: 10.1038/d41586-019-02918-5
  • Van Savage, Pamela Yeh
  • Van Savageはカリフォルニア大学ロサンゼルス校(米国)と サンタフェ研究所(米国ニューメキシコ州)の理論生物学・生態学者。Pamela Yehはカリフォルニア大学ロサンゼルス校と サンタフェ研究所の進化生物学者。