微生物が身に付けた極限環境でのサバイバル術
Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 5 | doi : 10.1038/ndigest.2020.200505
原文:Nature (2020-03-12) | doi: 10.1038/d41586-020-00697-y | These microbial communities have learned to live at Earth’s most extreme reaches
海洋の地下深部に埋もれた岩石の内部に微生物が発見され、その生存戦略が徐々に明らかになってきた。
Tom Kleindinst/Woods Hole Oceanographic Institution (WHOI)
南西インド洋海嶺上の「アトランティス海台」で回収された岩石コア試料の新たな分析によって、海洋地殻の深部にも細菌やアーキアなどの微生物が存在することが明らかになり、Nature 2020年3月12日号250ページで報告された1。これらの単細胞生物は、栄養素などの資源が極めて少ない海洋下部地殻の微細な亀裂中に生息し、海水などで運ばれる微量の有機炭素を最大限に活用することで、ゆっくりだが確実に生存・増殖しているとみられる。今回の発見で、地球上で生物が生息可能と考えられる領域がまた大きく広がったことになる。