Where I Work

Terri Adams

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 4 | doi : 10.1038/ndigest.2020.200452

原文:Nature (2019-11-06) | doi: 10.1038/d41586-019-03367-w | Where I Work: Terri Adams

Sarah Boon

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LEONORA SAUNDERS

科学ガラス工の仕事を始めて33年になります。オックスフォード大学で、科学者が研究に使うガラス器具のデザインと製作をしています。

いちばんの自慢は、ヒト臓器の機能を体外で維持するのに用いる灌流装置です。他にも、真空を操作するノブが並んだ高真空マニホールド、蒸留実験や昇華実験のためのガラス器具、物質を熱したり冷やしたりするのに使うウォータージャケット付き容器、高温チューブ炉用の石英やセラミック製の炉心管など、学内で使われる一般的なガラス器具も作っています。

作業台には、ガラス加工に用いるさまざまな道具が置いてあります。多くは特定の仕事のためにあつらえたものです。こうした道具を見るたびに、私はこれらを最初に使った時の仕事を思い出し、次はどうやって使おうかと考えます。

ほとんどがカーボン製で、使用前にしっかりと磨く必要があります。わずかな凹凸であっても、ガラスの仕上がりに影響してくるからです。

新しいガラス器具のデザインも、この作業台で考えます。紙にスケッチを描くのは簡単ですが、その思いつきを実際に使えるガラス器具の形にするのは容易ではありません。

作業は直感を頼りにする部分が多いです。ガラスの温度や旋盤の回転速度が適切かどうか、本能的に分かるのです。旋盤の回転速度が十分かどうかは音で分かります。

ガラス細工の技術は衰退しつつあります。この技術を教える学校は世界的に見ても多くありません。多くの仕事がコンピューターでできるようになり、今ではガラスに代わる非磁性体材料もあります。

けれども私は、毎週のように新しいことを学んでいます。研究者が画期的な成果を上げて、私が作った小さなガラス器具が科学のより大きな描像に貢献できたことを知ったときには、大いに励まされます。

(翻訳:三枝小夜子)

Terri Adamsはオックスフォード大学(英国)の科学ガラス職人(Scientific glassblower)。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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