Editorial

Nature は次に何をすべきか

Credit: Orbon Alija/Getty

これからの10年間にNature が注力する活動の中で最も重要度の高いものは何だと思いますか、という設問に対し、500人以上の読者から回答をいただきました。感謝申し上げます。特に多かった回答は次の4つです。(1)Nature に掲載された論文とデータへのアクセス向上。(2)論文検索をより簡便に、また論文はより理解しやすいものに。(3)研究の公正性を高める努力。(4)グローバルな課題に取り組む研究論文の出版、発信。他にも、数々のコメントをいただきました。それらも参考にし、新たな10年に向けて歩みを進めます。

広い意味での「アクセシビリティ」の改善を求める回答もありました。Nature に掲載される論文を「専門家ではないが好奇心の非常に強い読者にとっても読みやすいものにしてほしい」と書かれていたのです。私たちは、Nature に掲載される論文のアブストラクトとニュース記事およびオピニオン記事の全てについて、記述を明確にし、多様な研究分野とキャリアステージの読者を引きつける内容となるよう努めていますが、「神経科学者にも読みやすい古生物学のコンテンツ、古生物学者にも読みやすい神経科学のコンテンツの両方を目指せ」というご指摘もありました。Nature が「科学の世界的な普及における真実性と公平性」を維持すべきという別の読者の回答も同じく重要です。

また、Nature Briefing(毎日発行)を多くの読者が賞賛くださったことを嬉しく思います。新しい情報が大量に押し寄せる中、皆さんが圧倒されずに理解できるようにしたいと私たちは思っています。

オープンアクセスやオープンデータ、再現性の各方針の採用をさらに進めてオープンサイエンスを一層推進するよう求める回答も複数ありました。Nature の方向性を決める上で有益な情報です。また、Nature に政策と政治の話題が掲載されている理由を尋ねる声も多くありました。私たちは、こうした記事をNature の重要な構成要素と考えています。政策決定は研究と研究者の生活に影響を与え、また研究成果は政策決定に影響を与えるからです。

Nature が地球規模の課題に注力することを多くの読者が求めていると分かったのも、嬉しいことでした。Nature は、国連の持続可能な開発目標に該当する分野の論文出版と報道に力を尽くしており、2020年は多忙な年になりそうです。10月には、国連生物多様性条約の締約国が中国の昆明で会議を開き、新たな世界的目標を設定します。11月には世界の指導者が英国グラスゴーで一連の新たな気候目標に合意予定です(より野心的な目標になることを願っています)。それに先立ち、6月の国連海洋会議に各国の代表者と科学者や企業、支援団体がリスボン(ポルトガル)に集まります。

また、論文著者と寄稿者の多様性促進に注力すべきという回答もありました。我々はこの活動を強化しており、弊社イベントの講演者パネルと組織委員会に必ず女性を起用すると表明しました(2020年3月号「『マネル』にさせない」参照)。

ある読者は、科学が人類の遺産の極めて重要な一部であることを気付かせてくれました。「Nature には、改善を続け、次世代がアクセスしやすいように重要な情報を保存、厳選する努力をしてほしい」。我々も、大いに賛成です。

翻訳:菊川要

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 4

DOI: 10.1038/ndigest.2020.200446

原文

What you want Nature to do next
  • Nature (2020-01-28) | DOI: 10.1038/d41586-020-00227-w