Where I Work

Jukka Pätynen

Nature ダイジェスト Vol. 17 No. 10 | doi : 10.1038/ndigest.2020.201052

原文:Nature (2020-04-27) | doi: 10.1038/d41586-020-01225-8 | Where I Work: Jukka Pätynen

James Mitchell Crow

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Jarkko Mikkonen

ヘルシンキに本社を置く音響コンサルタント会社アクコン(Akukon)の音響技師として、パフォーマンス会場から研究室まで、さまざまな空間の音響特性の設計と試験を行っています。

2020年、アールト大学(フィンランド・エスポー)の音響実験室の全面改修プロジェクトに参加しました。写真の部屋は無響室で、この部屋の表面は音を反射しないように設計されています。壁を覆うくさび型の硬質発泡材が音を吸収しています。部屋自体も箱の中の箱のような構造になっていて、内側の空間は防振のために弾性材料の上に浮いています。

デシベル(dB)スケールでは、ヒトの聴力の下限が0dBとされています。改修後の音響実験室の背景雑音レベルの測定結果は−2dBでしたが、これは使用した測定装置の限界です。私たちの計算では、実際の背景雑音は−10dBという静かさになっていると思われます。

アールト大学で博士研究員をしていたとき、中欧各地のコンサートホールで測定してきた音響特性をこれらの音響実験室で再現しました。そうすることで、演奏から聴衆の気分まで、音響特性以外の全ての条件を一定に保ったまま、音響実験室の中の聞き手をさまざまなホールに「連れて行く」ことができるのです。この方法で、各地のコンサートホールの空間を直接比較し、良い室内音響の主な要素を特定することができました。

私がアクコン社で手掛けた音響設計のいくつかは、このプロジェクトに由来しています。私たちはヘルシンキにあるクラブ型の音楽会場「G Livelab」の設計に協力しましたが、ここでは音響技師がバーチャル音響システムを使ってさまざまなホールをシミュレーションすることができます。音色や広がり感をかなり自由に調節できるので、ロックバンドから弦楽四重奏団まで、幅広いミュージシャンの音楽に対応できます。

今は主に自宅で仕事をしていますが、現場に出向いて音響測定をすることもあります。いずれ社会が再開したときには、コンサートなどの集まりに寄せる人々の思いがこの非常時に強まったかどうかを知りたいですね。

(翻訳:三枝小夜子)

Jukka Pätynenは、アクコン社 (フィンランド・ヘルシンキ)の音響技師。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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