極北のヒト系統
シベリア極北東部は、古代人にとってはアメリカ大陸への玄関口であり、現代では多くの言語が使われ、多様な文化が根付いている地域だ。後期更新世(約12万6000年前から1万1700年前頃まで続いた氷期)、シベリアのこの地域は北米とつながっており、その陸橋および周辺地帯はベーリンジアとして知られる地域を形成していた。シベリア各地からベーリンジアにかけては狩猟採集民集団が広く分布し1-3、マンモスなどの大型動物相やその他の動物が彼らの生活を支えていたと考えられている。このたび、コペンハーゲン大学(デンマーク)のMartin Sikoraらの研究グループ4と、オストラバ大学(チェコ)およびチェコ科学アカデミー(プラハ)、ロシア科学アカデミー(モスクワ)に所属するPavel Flegontovらの研究グループ5が、かつてシベリア北東部と北米北部に存在した人類集団の遺伝的足跡を調べて現代人集団との関係を解明し、それぞれNature 2019年6月13日号の182ページおよび236ページで報告した。Sikoraらは、その人類集団が過去4万年にわたって気候変動から受けた影響についても調べた。
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翻訳:小林盛方
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 9
DOI: 10.1038/ndigest.2019.190931
原文
The lineages of the first humans to reach northeastern Siberia and the Americas- Nature (2019-06-13) | DOI: 10.1038/d41586-019-01374-5
- Anne C. Stone
- Anne C. Stoneは、アリゾナ州立大学(米国)に所属。
参考文献
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