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系統樹を揺さぶるトリックスター

アーキアと呼ばれる微生物群の一部には、北欧神話に出てくるロキなどの神にちなんだ名前が付けられている。この仲間は謎が多く、ヒトなど複雑な生物の起源を巡る論争の火種にもなっている。

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ILLUSTRATION BY FABIO BUONOCORE

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 8 | doi : 10.1038/ndigest.2019.190819

原文:Nature (2019-05-16) | doi: 10.1038/d41586-019-01496-w | The trickster microbes shaking up the tree of life

Traci Watson

神話にはトリックスターがつきものだが、北欧神話に登場するロキほど活躍するトリックスターは少ないだろう。この神は騒動を引き起こし、他の神々に無礼を働き、捉えどころがなく、秩序に従わず、どっち付かずの態度を取る。そんなロキの名前をもらったのが、ロキアーキオータ門(Lokiarchaeota)と呼ばれる微生物群だ。今、この分類群の存在によって、生命系統樹の根幹部分に関する基本ストーリーが書き換えられようとしている。

ロキアーキオータ門は、アーキア(または古細菌)と呼ばれる単細胞生物の系統に属している。アーキアは顕微鏡で見ると細菌に似ているが、細菌とは大きく異なっており、その差はいくつかの点でヒトとの違いと同じくらいになる。ロキアーキオータ類(短く「ロキ類(Lokis)」とも呼ばれる)は、グリーンランドの近くで採取された海底の泥に含まれるDNAの塩基配列を解読して発見された1(2015年8月号「 真核生物誕生のカギを握る原核生物を発見」参照)。ロキ類やこれに近縁な微生物群が見つかったことで、地球の生命史上最大級のイベントである、全ての動植物や菌類などを含む生物分類群「真核生物」の出現についての再検討が進みつつある。

1970年代にアーキアが発見され、「生命系統樹は大昔に3本の太い幹(「ドメイン(または超界)」と呼ばれる)に分かれた」という説が提唱されるようになった。1本の幹は現在の細菌になり、2本目はアーキアに、3本目は真核生物になったとする説である。しかし間もなく、これら3つの幹の構造を巡って激しい論争が巻き起こった。主要な「3ドメイン」説では、アーキアと真核生物は共通祖先から分岐したと考えた。一方、「2ドメイン」説では、真核生物はアーキアの中の1分類群から直接分岐したと考えた。

この論争は折々に盛り上がったものの、やがて停滞してしまったと、クイーンズランド大学(オーストラリア・ブリスベーン)の微生物学者Phil Hugenholtzは話す。彼によれば、その後、ロキ類とその近縁群が「新風を吹き込む」ように登場し、系統樹の2ドメイン説を復活させたのだという。

これらの新たに見つかったアーキア分類群は、真核生物の特徴だと考えられている遺伝子群を持っている。また、それらのDNAの詳しい解析から、現在の真核生物がそれらと同じアーキア分類群に属することが示唆されている。もしそうだとすれば、基本的に全ての複雑な生物(緑藻類からシロナガスクジラまで含む全て)は元をたどればアーキア起源ということになる。

ただし、研究者の多くはいまだに確信できずにいる。進化系統樹の構築は手が掛かり、論争の的にもなりやすい。しかも、これらの新しいアーキア分類群が実験室で増殖できるという証拠を示した研究者はおらず、そのため調べることも困難な状況にある。ドメイン数を巡るこの論争は今でも喧嘩腰で行われている。どちらの側も、熱烈で頑固な支持者らが「お互いに敵意をむき出しにし、相手陣営には正しいところなど何もないと100%信じているのです」とHugenholtzは話す。中には、目上の同僚の怒りを買うことを恐れて意見を控える研究者もいる。

重要なのは、真核生物を誕生させた「生物学的な飛躍」の深層を解明することだ。真核生物の誕生は「生命出現後の最大の出来事」だと、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ・バンクーバー)の進化生物学者Patrick Keelingは言う。真核生物がどこから生じたのかは、「生物の複雑さの本質を解明する上で最も根本的な問題の1つです」と彼は話す。この疑問に答えるには、「生物群同士の類縁関係を明らかにする必要があります」とKeeling。

2つが3つになる

半世紀前の科学者は、地球上の生物は2種類に分けられると考えていた。膜に包まれた核などの内部構造を持つ細胞からなる真核生物と、一般にそうした内膜系を持たない単細胞の原核生物である。当時の生物学者が知る原核生物は、細菌だけだった。その後1977年に、進化生物学者カール・ウーズ(Carl Woese)が同僚らと、数十億年前に誕生した第3の生物群としてアーキアを報告した2。生物は2つではなく3つの大きな系統に分けるべきだとウーズは述べた。

彼の意見に反対する者も現れた。1980年代に、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(米国)の進化生物学者ジェームス・レイク(James Lake)は、真核生物が、彼が「エオサイト(eocytes)」と呼ぶアーキア類の姉妹群に当たるという説を提唱した(エオサイトは「黎明期の細胞」という意味である)3,4。このエオサイト説は、2ドメイン説へと発展した。

レイクとウーズは、相反する仮説を巡って激しく論争し、1980年代半ばにはついに、伝説に残るほどの激しい口論が繰り広げられた。その後、ウーズは「レイクに会いたがらなかった」と、パスツール研究所(フランス・パリ)の微生物学者Patrick Forterreは話す。レイク自身も、「あれは実際、かなりの論争でしたし、駆け引きも大いにありました」と話し、ウーズとのトゲトゲしい関係を否定していない。ウーズは2012年に亡くなった。

現在、真核生物がどこに由来するかを巡る議論は熟成の段階にきている。3ドメイン派でも2ドメイン派でも、どちらの陣営かに限らず、研究者の多くが真核生物の出現には恐らく、細胞内共生として知られる段階が関わっていると考えている。今は亡き生物学者リン・マーギュリス(Lynn Margulis)が提唱したこの仮説は、大昔に生息していた単純な宿主細胞が、何らかの経緯で細菌を取り込み、両者が相互に利益を得る関係を築き始めたというものだ。宿主細胞に捕らわれた細菌は最終的にミトコンドリア(エネルギーを生成する細胞内小器官)に進化し、やがてこれらの細胞が真核生物として現在知られるものになったわけである。

細菌を取り込んだ細胞がどんなものであったかは、2つの派で意見が分かれるところだ。3ドメイン説の支持派によれば、細菌を取り込んだ細胞は祖先型の微生物であり、すでに絶滅していると考えている。Forterreによると、それは「現在のアーキアでもなく現在の真核生物でもない、原始真核生物」だった。このモデルでは、初期進化の段階でいくつかの大きな分岐があった。1回目は数十億年前で、このとき始原的生物から、細菌と、絶滅した微生物群の2つが生じた。絶滅した微生物群は、アーキアと、後に真核生物になる微生物群とに分岐した。

しかし2ドメイン説に基づく世界では、始原的生物から細菌とアーキアが生まれた。そして、運命の相手となる細菌を最終的に取り込んだ生物はアーキアだった。そのため、全ての真核生物は、アーキアの幹から出る繁茂した1本の枝に収まることになる。中には、真核生物を「二次的ドメイン(secondary domain)」と呼ぶ研究者もいる(「ドメインの数を巡る論争」参照)。

ドメインの数を巡る論争
はるか昔、アーキアに近縁な生物が、現在の細菌に近い生物を内部に取り込み、複雑な生物が誕生した。細胞内にミトコンドリアなどの膜に包まれた構造を持つ「真核生物」である。しかし、細菌様生物を取り込んだ細胞がどのようなものかは、よく分かっていない。3ドメイン説によると、この細胞はアーキアと共通の祖先を持つ。 | 拡大する

かき混ぜられたメッセージ

微生物を過去に戻すタイムマシンでもない限り、これらの仮説を調べることは極めて難しい。最も初期の真核生物の化石記録はわずかであり、謎めいた化石例もある。研究者は化石記録の代わりに、現生生物のゲノムに書き込まれた記録を頼ることになるが、そうしたゲノム内の記録自体も長い時を経るうちにかき混ぜられている。「我々が今やろうとしているのは、20億年前に起こったと思われる出来事を、現在の塩基配列データを使って解き明かすことなのです」と、ブリストル大学(英国)の計算進化生物学者Tom Williamsは言う。「決して簡単なことではありません」。

最新の遺伝子塩基配列解読の技術によって、真核生物の起源を巡る議論は前進している。最近まで、特定の生息環境にいる細菌やアーキアを特定するためには、実験室でそれらを増殖させる必要があった。しかし現在では、DNAを抽出して数理的ツールで解析することで、水や土壌試料中の微生物多様性を評価することができる。この手法は「メタゲノミクス」と呼ばれる(2015年9月号「微生物ダークマターを探る最新手法」参照)。2002年には、アーキアの2つの「門」が明らかになった。メタゲノミクスのおかげで、現在ではアーキアの分類群の数はどんどん増えている。

進化学者らは早速、この増えつつあるお宝のデータを利用している。彼らは最新の強力なモデル化手法を使い、アーキア内の分類群同士の類縁関係を詳しく示すさまざまな進化系統樹を作成した。その結果、多くの場合、真核生物はアーキア分類群の中に収まった。「証拠の重みは実際、我々の見立てでは、2ドメインのエオサイト型系統樹へとシフトしました」とWilliamsは説明する。しかし一部の人々にとって、この議論はまだデータ不足だった。

やがて2015年に、当時ウプサラ大学(スウェーデン)にいた進化微生物学者Thijs Ettemaの研究グループが、2010年に掘削された堆積物で見つかったロキアーキオータ類のDNA塩基配列を報告した1。その後2年足らずで、Ettemaのチームや他の研究チームが、ロキ類に近縁な3つの新しいアーキアの門(タウムアーキオータ、オーディンアーキオータ、ヘイムダルアーキオータ)を発見したと発表した5,6。これらの新しい門をひとくくりにした分類群(上門)は、北欧神話で神々が住まう世界にちなんで「アスガルド」と名付けられた。

アスガルド上門に属するアーキアは、規模は小さいが、進化系統樹における論争において、非常に重要な役割を持つことが分かった。この仲間の発見で、生命系統樹の真のドメイン数に関する議論が再び活気づいた。また、アスガルドアーキア類からは、最初の真核生物を生み出した細胞の正体に関する興味深いヒント(少なくとも2ドメイン説支持派にとって)が得られつつある。

神話のロキと同様、ロキアーキオータやその近縁群も一筋縄ではいかない相手だ。これらは疑いなくアーキアだが、それらのゲノムには真核生物に見られるものに似た遺伝子の寄せ集めが含まれている。例えばロキ類のDNAには、真核生物で細胞骨格を作るタンパク質「アクチン」を遺伝的に指示する情報が含まれている。これらの遺伝子はあまりに場違いであったため、発見した研究者らは最初、試料の汚染を非難されるのではないかと心配したほどだった。「思わず、『うーん、これはどう考えればいいんだろう。これが本当にアーキアのゲノムだなんて、あり得ることなんだろうか』と口に出てしまいました」と、オランダ王立海洋研究所(テセル)の進化微生物学者Anja Spangは当時を振り返って話す。

進化のモデル化研究により、アスガルド上門アーキアと真核生物の強い結び付きがさらに補強された。Ettemaのチームが構築した系統樹では、全ての真核生物がアスガルド類の中に収まる5,7

アーキアの多くは高温や強酸、高塩濃度などの極限環境に生息する。イエローストーン国立公園(写真)では、アー キアという分類群が提唱される以前にスルフォロブス属(Sulfolobus)が見つかっている。 | 拡大する

Don White/iStock / Getty Images Plus/Getty

現在、多くの研究者が、これらのアスガルドアーキア類から得られたデータを使って、真核生物の前駆生物の姿をより明瞭に描き出そうとしている。この前駆生物は、ミトコンドリアのもととなった細菌を取り込む前からすでに、真核生物の典型的な特徴をいくつか持っていた可能性がある。「前駆生物は恐らく、非常に原始的な膜系による生物学的過程をいくつか持っていたと思われます」とEttemaは話す。

2019年に報告されたEttemaらの解析結果7によれば、アスガルド類アーキアの祖先生物は、炭素を主体とする脂肪酸やブタンなどの分子を餌にしていた可能性が高い。この食餌から生じた副生成物で、パートナーの細菌を養っていたのかもしれない。微生物間で広く見られるこうした食物分配の合意が、より親密な関係性へと進化したと考えられる。1個のアーキアが、栄養素交換を容易にするために相手の細菌に隣接して寄り添い、やがて最終的に内部に取り込む形になったのかもしれない。

しかし、こうしたシナリオに対してまた疑惑の声が上がった。納得できない人々の筆頭はForterreだ。彼は、このアスガルド類の論文をくまなく読み、同僚と共にこの論文に対する徹底的な反証を発表した8

誤解を招くマーカー?

Forterreと彼の研究グループは、ロキ類で見つかった真核生物様塩基配列の一部が試料汚染の結果であることを示唆し、こうした批判にEttemaは激怒した。例えば、ロキ類で見つかったとされるタンパク質「伸長因子2」は、「恐らく真核生物の塩基配列で汚染されたせいだ」と、Forterreのチームは反証を挙げた論文の中で書いている。Forterreは現在、この点については確信がないと言っている。

ただしForterreらは今なお、アスガルド類の進化系統樹を批判する姿勢を貫いている。系統樹の構築に長けた研究者でも、20億年前に生きていた生物の互いの類縁関係を解明することの難しさは分かっている。こうした類縁関係を再構築するには、それらの生物で特定の「マーカー」(通常はタンパク質か遺伝子)が時間経過につれてどのように変化してきたかをモデル化する手法を使う。

Forterreのチームは、Ettemaのチームが意図せずに誤解を招くマーカーを選んで系統樹を構築したのだと言っている。Forterreらは実際に、2種類の大型タンパク質をマーカーとして使い、独自の系統樹解析を行った。大型タンパク質を使ったのは、サイズが大きいほど望ましい情報が記録されている可能性も高くなると考えられるためだ。解析の結果は、3ドメインの系統樹となった。

Ettemaによれば、Forterreらが使った2種類のマーカーは、大昔に起こった出来事を追跡するには不十分だという。この批判には他の研究者も同調している。また、EttemaのチームがForterreらの知見を再現しようとした際、Forterreらの2種類のタンパク質を使っても、結果はやはり2ドメインの系統樹になったという。Ettemaはこの結果をまだ公表していない。

Ettemaは、このように結果に違いが出るのは専門分野が違うせいだと考えている。「Patrick Forterreは、彼が専門とする分野では優れた研究者だが、ロキ類は彼の専門分野からちょっと外れている」と、Ettemaは話す。一方Forterreの話だと、彼自身には系統分類学のスキルがある程度あり、彼の共著者らにはそれ以上のスキルがあるという。

ただし、2ドメイン説支持派の全員がForterreの系統樹を否定しているわけではない。例えばWilliamsは、最新の解析ツールを使い、新しいさまざまな種類のアーキアを含めて系統樹を構築しているところだ。この取り組みが、Forterreの研究結果をいくらかでも理解する助けになればとWilliamsは考えている。

3ドメイン説には大物の味方もいる。生命系統樹上の微生物の位置を決めるのに必要ないくつかの手法を先駆的に開発した、コロラド大学ボールダー校(米国)の生物学者Norm Paceだ。彼によれば、一部のマーカーは、膨大な時間を経るうちに追跡が困難な変化を起こしてしまうだろうという。Ettemaや他の研究者は、そうした隠れた変化を説明するのに統計的手法を使っているが、Paceはそうしたやり方を一蹴している。「Ettemaらは、見えない変化を計算できると主張していますが、ばかげた思い込みだと言っておきます」とPaceは話す。ただし、それらの手法は現在広く使われているものだ。またEttemaは、さまざまな検査法を駆使することで、そうした変化がデータに影響を及ぼすかどうかを判定できると反論している。

他の研究者らは判断を保留している。よく耳にするのが、「系統樹は変遷するもの」という言葉だ。Keelingは、自分は「全くの中立」だと言い、Hugenholtzは、「判定はまだ下されていない」とする意見に賛同している。しかし2人とも、2ドメイン説を支持する証拠が増えつつあると思うと述べている。

異論に葉をざわめかせる系統樹が落ち着くのを待つ中で、研究者らは、2ドメイン系統樹の裏付けになりそうな別種の証拠に目を向けている。細菌と真核生物は、細胞膜に一群の脂質を持っているが、アーキアの膜にはそれと異なる脂質群が含まれている。2つの脂質群は、混じり合うと不安定な状態になると考えられた。この「脂質群の相違」は、これまで2ドメイン説支持派の泣き所となってきた。真核生物がアーキアから派生したとすれば、真核生物はアーキアの脂質群を使う段階から細菌の脂質群を作る段階へと切り替える必要があったことになるからだ。

しかし現在、「脂質群の相違」は以前ほど大きな障壁ではなくなっている。2018年にオランダの研究チームが、アーキア脂質群と細菌脂質群の両方を含む細胞膜を持った細菌を遺伝子操作で作り出すことに成功したのだ9。また、両方の種類の脂質群を作るための遺伝子群を持つ細菌も、黒海で見つかった10。アーキアから真核生物へ移行する途上の微生物は、そうした混合型の膜を持っていたのではないかと、オランダ王立海洋研究所の微生物学者で、この黒海の細菌を調べたチームのメンバーでもあるLaura Villanuevaは話す。

とはいえ、ロキ類を含むアスガルド類アーキアの解析はまだ限定的だ。「本当に待たれているのは、この系統の仲間の単離です。アスガルド類を採取し、培養する必要があります」と、パスツール研究所の進化微生物学者Simonetta Gribaldoは言う。アスガルド類の中には、代謝が不活発なものや増殖が遅いものがあり、それらは「生物を育て増やそうとする場合、まさに勘弁してほしい種類のものです」とEttemaは話す。培養の試みすら、経験者はほんのわずかしかいないのが現状だ。アスガルド類の培養を試みているウィーン大学(オーストリア)の微生物学者Christa Schleperは、自らの取り組みについて、「私がこれまで助成金を申請した中で最もクレイジーなプロジェクト」だと言っている。

アスガルド類はつかみどころのない微生物群だが、ある研究チームが、アスガルド類の初めての画像なるものを捉えた。1つの種類の画像には丸い細胞が写っており、それぞれの細胞には、真核生物の定義となる特徴の「核」に似た、密に詰まったDNAの束が含まれている。これらの画像は「非常に興味深い」が決定的ではないと、これらの画像を載せたプレプリント11の共著者であるチェコ共和国科学アカデミー生物学センター(チェスケー・ブジェヨビツェ)の微生物学者Rohit Ghaiは話す。

アスガルド類の全体像は今なお不明瞭だ。北欧神話では、ロキがしばしば騒動の種をまき、その後全てを丸く収める。ロキアーキオータやその近縁群が暗がりから姿を現したことで、2ドメイン説の支持者らは、複雑な生物の起源を巡る長年の論争がこれで丸く収まるのではないかと考えている。だが、論争の収束にはしばらく時間がかかりそうだ。「我々は、アスガルド類アーキアを見つけたとき、それで全ての人々を納得させられるだろうと思いました。でも、そうはならなかったのです」とSpangは笑いながら言う。

(翻訳:船田晶子)

Traci Watsonは、ワシントンDCのNature Research Highlightsの編集者

参考文献

  1. Spang, A. et al. Nature 521, 173–179 (2015).
  2. Woese, C. R. & Fox, G .E. Proc. Natl Acad. Sci. USA 74,5088–5090 (1977).
  3. Lake, J. A., Henderson, E., Oakes, M. & Clark, M. W. Proc. Natl Acad. Sci. USA 81, 3786–3790 (1984).
  4. Lake, J. A. Nature 331, 184–186 (1988).
  5. Zaremba-Niedzwiedzka, K. et al. Nature 541, 353–358 (2017).
  6. Seitz, K. W., Lazar, C. S., Hinrichs, K.-U., Teske, A. P. & Baker, B. J. ISME J. 10, 1696–1705 (2016).
  7. Spang, A. et al. Nature Microbiol. http://doi.org/gfxrt3 (2019).
  8. Da Cunha, V., Gaia, M., Gadelle, D., Nasir, A. & Forterre, P. PLoS Genet. 13, e1006810 (2017).
  9. Caforio, A. et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 115, 3704–3709 (2018).
  10. Villanueva, L. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/10.1101/448035 (2018).
  11. Salcher, M. M. et al. Preprint at bioRxiv https://doi.org/10.1101/580431 (2019).

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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