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アンモニア合成の新たな道

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 7 | doi : 10.1038/ndigest.2019.190735

原文:Nature (2019-04-25) | doi: 10.1038/d41586-019-01213-7 | A fresh approach to synthesizing ammonia from air and water

Máté J. Bezdek & Paul J. Chirik

肥料の原料となるアンモニアは人間社会にとって不可欠だが、その製造にはエネルギーの大量消費、二酸化炭素の大量排出、多額の初期設備投資が伴う。今回、常温常圧で進む興味深い反応が開発されたことで、エネルギー効率の高い代替アンモニア合成法が実現される可能性が示された。

水素源として水を用いる今回の反応は、 環境に優しいアンモニア合成法への道を開く大きな一歩である。 | 拡大する

sarayut Thaneerat/Moment/Getty

世界の食料生産は、アンモニア系の窒素肥料に支えられている。従って、窒素ガス(N2)のアンモニア(NH3)への工業的変換は、人々の生活に不可欠なものといえる。この変換反応に関わる分子はどれも単純だが、N2の強い窒素–窒素三重結合(N≡N結合)を開裂して同時に窒素–水素(N–H)結合を形成する反応は容易でなく、現状では、高温高圧といった極端な反応条件や、扱いにくくて合成に大量のエネルギーを要する反応試薬を複数組み合わせて使うなど、概してエネルギーコストの高い条件を必要とする。そのため、これらの条件を大幅に改善できる触媒反応が求められてきた。東京大学の西林仁昭が率いる研究チーム1は今回、二ヨウ化サマリウムと水を混合し、これをモリブデン錯体と組み合わせることで、常温常圧でN2のNH3への変換反応を触媒できることを実証し、Nature 2019年4月25日号536ページで報告した。この反応は触媒活性が非常に高く、エネルギー損失も大きく低減されている。今回の成果は、常温常圧での工業的アンモニア合成法の実現に向けて道を開くとともに、真に理想的な手法について問題提起するものである。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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