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サンゴの共生には3種の生物が関与
共生の定義は難しそうに思えるが、実は、「複数種の生物が長期にわたって共同で生活する」という簡単なものだ。サンゴ礁で見られるような、花虫類の動物と特定の微小な渦鞭毛藻類(Symbiodinium属など)との協力関係は、共生の典型的なモデルとなっている。花虫類は藻類にすみかを提供し、藻類は光合成で生成した糖類を「賃料」として花虫類に分配する1。このように安定的かつ高度に生産的な2種共生関係が、海洋生態系を支える膨大なサンゴ礁を作り出している(2017年9月号「深い海のサンゴが光る理由」、2011年10月号「ゲノム解析がサンゴ礁を救う」、2017年4月号「海草は除菌も担う海の万能選手」、2018年7月号「グレートバリアリーフの被害状況が明らかに」参照)。しかし今回、ブリティッシュ・コロンビア大学(カナダ)のWaldan K. KwongらはNature 2019年4月4日号 103ページ2で、サンゴの共生関係に第3の生物が関わっていることを明らかにして、この単純な2種共生モデルに疑問を投げ掛けている。
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翻訳:船田晶子
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 7
DOI: 10.1038/ndigest.2019.190727
原文
Coral symbiosis is a three-player game- Nature (2019-04-04) | DOI: 10.1038/d41586-019-00949-6
- Thomas A. Richards & John P. McCutcheon
- Thomas A. Richardsはエクセター大学(英国)、 John P. McCutcheonはモンタナ大学(米国)に所属
参考文献
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