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コウモリインフルエンザウイルスの宿主細胞受容体の特定

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 6 | doi : 10.1038/ndigest.2019.190634

原文:Nature (2019-03-07) | doi: 10.1038/d41586-019-00580-5 | Receptor for bat influenza virus uncovers potential risk to humans

Wendy S. Barclay

コウモリインフルエンザウイルスが宿主細胞に感染する仕組みはこれまで分かっていなかった。今回、このウイルスが、MHCクラスIIタンパク質という広範な生物種に存在する細胞受容体に結合することが明らかになり、ヒトに対する潜在的リスクの懸念が浮かび上がった。

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Johner Images/Gatty

コウモリは、ウイルスにとって素晴らしい宿主である。数が多く(地球上の全哺乳類の20%を占める)、多産である(コロニーには最大で2000万個体が存在する)ためだ。コウモリは、家畜やヒトに蔓延し得る危険な病原体を保有している。エボラウイルス、SARSウイルス、ニパウイルスは全て、直接あるいは中間宿主を介して、コウモリからヒトに持ち込まれたものである1。コウモリがA型インフルエンザウイルスを保有しているという2012年の発見2は驚くべきものであった。インフルエンザウイルスは動物からヒトに感染しやすく、パンデミックを引き起こして深刻な結果をもたらすことがよく知られている3からだ。このほどチューリヒ大学(スイス)のUmut Karakusらは、コウモリインフルエンザウイルスが宿主に感染する際に利用する細胞受容体が、広範な生物種における類似性が極めて高いタンパク質であることを見いだし、Nature 2019年3月7日号109ページで報告した4。この知見は、コウモリが保有しているインフルエンザウイルスによってもたらされるヒトや動物の健康リスクを定量化するための重要な一歩となる。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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