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ずらして重ねると輝きを放つ二次元材料

原子レベルの薄さの二次元材料(原子層材料)は、光と強く相互作用し、魅力的な磁気特性をいくつも持つことから、光学やエレクトロニクスの分野で幅広い研究が進められている。2枚の異なる単原子層を特定の角度だけ回転させて重ねたり、格子定数(結晶構造における単位格子の軸の長さや軸間角度)が違う2種類の単原子層を重ねたりして二層ヘテロ構造を作ると、層間に働く相互作用によってポテンシャルに空間的周期性(モアレパターン)が生じ、それまで層内を自由に動き回っていた電子は、こうした「モアレポテンシャル」に捕捉されて動けなくなる1。モアレポテンシャルが二層ヘテロ構造の光学特性を大きく変化させ得ることは、これまで理論的には予測されてきたが2、実験的には観測されていなかった。今回、この予測を裏付けるような発光と光吸収の特徴が4つの研究チームによって観測され、それらの結果がNature 2019年3月7日号で4編の論文3–6として発表された。一連の成果は、二次元世界における光学特性の可能性を大きく広げるものである。

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翻訳:藤野正美

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 6

DOI: 10.1038/ndigest.2019.190629

原文

Materials in flatland twist and shine
  • Nature (2019-03-07) | DOI: 10.1038/d41586-019-00704-x
  • Bernhard Urbaszek & Ajit Srivastava
  • Bernhard Urbaszek & Ajit Srivastavaは、Bernhard Urbaszekはトゥールーズ大学(フランス)、Ajit Srivastavaはエモリー大学(米国ジョージア州アトランタ)に所属。

参考文献

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