News & Views
明らかになってきた細胞の老化像
老化した組織1や病変が生じた組織2には、老化と呼ばれる状態に入った細胞が含まれることが多い。老化細胞は、分裂を停止し、細胞死誘導経路に抵抗性になるだけでなく、炎症性、タンパク質分解性などの生物活性を有する一連の因子を分泌して、組織の機能を障害し得る。老化細胞が分泌するこれらの因子群は、老化関連分泌表現型(SASP)と総称される。老化細胞のこのような性質から、老化に伴う疾患と闘うためにSASPを標的とすることに関心が集まっている。しかし、SASPの構成はさまざまであり、老化細胞が存続している間に変化する可能性がある3。また、SASPの発生・進行に関与するドライバー分子は完全に明らかになっているわけではない。このほどブラウン大学(米国ロードアイランド州プロビデンス)のMarco De Ceccoらは、老化「後期」のSASPに関与する重要な要因が、レトロトランスポゾンと呼ばれる休止状態のDNA塩基配列の再活性化であることを突き止め、Nature 2019年2月7日号73ページで報告した4。
全文を読むには購読する必要があります。既に購読されている方は下記よりログインしてください。
本サービスでは、サイトご利用時の利便性を向上させるためにCookiesを使用しています。詳しくは、シュプリンガーネイチャー・ジャパン株式会社の「プライバシー規約」をご覧下さい。
翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 5
DOI: 10.1038/ndigest.2019.190527
原文
Inhibition of ‘jumping genes’ promotes healthy ageing- Nature (2019-02-07) | DOI: 10.1038/d41586-018-07553-0
- Bennett Childs & Jan van Deursen
- Bennett Childs & Jan van Deursenは、メイヨークリニック(米国ミネソタ州ロチェスター)に所属。
参考文献
- Baker, D. J. et al. Nature 530, 184–189 (2016).
- He, S. & Sharpless, N. E. Cell 169, 1000–1011 (2017).
- van Deursen, J. M. Nature 509, 439–446 (2014).
- De Cecco, M. et al. Nature 566, 73–78 (2019).
- Cordaux, R. & Batzer, M. A. Nature Rev. Genet. 10, 691–703 (2009).
- Scott, E. C. & Devine, S. E. Viruses 9, 131 (2017).
- De Cecco, M. et al. Aging 5, 867–883 (2013).
- Li, T. & Chen, Z. J. J. Exp. Med. 215, 1287–1299 (2018).
- Glück, S. et al. Nature Cell Biol. 19, 1061–1070 (2017).
- Takahashi, A. et al. Nature Commun. 9, 1249 (2018).
- Brégnard, C. et al. EBioMedicine 8, 184–194 (2016).
- Chang, J. et al. Nature Med. 22, 78–83 (2016).
- Laberge, R.-M. et al. Nature Cell Biol. 17, 1049–1061 (2015).