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恐怖を忘れることを学ぶ脳
私たちはストレスの多い時代に生きている。疫学研究では、「古典的な」ストレス関連疾患の患者数が伸びていることが示されている。こうしたストレス関連疾患には、例えば、大うつ病や外傷後ストレス症候群(PTSD)、不安障害などがあるが、さらに依存症や、ストレスによってしばしば引き起こされる他の病気も含まれる1。幸い、現代の神経科学では、脳がストレスに対処する仕組みを解明するための新しい戦略が考え出されており、その究極の目標は、ストレス関連疾患を治すことだ。Nature 2019年2月21日号339ページでは、基礎科学研究院および韓国科学技術院(ともに韓国大田広域市)に所属するJinhee Baekら2が、そのような戦略がいかに役立つかという例を、最先端の神経科学技術と創造的な行動分析を組み合わせたマウスでの実験で示している。
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翻訳:古川奈々子
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 5
DOI: 10.1038/ndigest.2019.190530
原文
Biological clues to an enigmatic treatment for traumatic stress- Nature (2019-02-21) | DOI: 10.1038/d41586-019-00294-8
- Andrew Holmes
- Andrew Holmesは、行動ゲノム神経科学研究所、国立アルコール乱用・依存症研究所、 および国立衛生研究所(米国メリーランド州ベセスダ)に所属。
参考文献
- Kessler, R. C. et al. Arch. Gen. Psychiatry 62, 593–602 (2005).
- Baek, J. et al. Nature 566, 339–343 (2019).
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