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小さなチームの科学は破壊的で美しい

Credit: Witthaya Prasongsin/Moment/Getty

現在、科学技術のあらゆる分野で大規模なコラボレーションが増加傾向にあり、「大きなチーム」による研究活動は科学を活性化できると考えられている。こうした考えの根拠は、被引用数と研究チームの規模との間に存在するロバストな相関性に負うところが大きく、この関係は「科学の科学」という新興分野で十分に立証されている1。しかし、研究チームの規模の違いが、科学技術の発展や知識の探求においてどのような意味を持つかは分かっていなかった。今回シカゴ大学(米国イリノイ州)のLingfei Wuら2は、引用に基づく新たな指標を用いて膨大な文献データを解析することで、「大きなチームの研究はインパクト(影響度)が高い」とする一般通念に新たな意味合いを加えている。それによると、小さなチームと大きなチームとでは、科学技術にもたらす「破壊」の程度に明瞭かつ系統的な違いがあるという。この成果は、Nature 2019年2月21日号378ページで報告された。

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翻訳:小林盛方

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 5

DOI: 10.1038/ndigest.2019.190533

原文

Small research teams ‘disrupt’ science more radically than large ones
  • Nature (2019-02-21) | DOI: 10.1038/d41586-019-00350-3
  • Pierre Azoulay
  • Pierre Azoulayは、マサチューセッツ工科大学(米国ケンブリッジ)に所属。

参考文献

  1. Wuchty, S., Jones, B. F. & Uzzi, B. Science 316, 1036–1039 (2007).
  2. Wu, L., Wang, D. & Evans, J. A. Nature 566, 378–382 (2019).
  3. Catalini, C., Lacetera, N. & Oettl, A. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 112, 13823–13826 (2015).
  4. Hirsch, J. E. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 102, 16569–16572 (2005).
  5. Hutchins, B. I., Yuan, X., Anderson, J. M. & Santangelo, G. M. PLoS Biol. 14, e1002541 (2016).
  6. Funk, R. J. & Owen-Smith, J. Mgmt Sci. 63, 791–817 (2017).