News Feature
フッ素化合物を追跡する
コロラド鉱山大学(米国ゴールデン)のChristopher Higginsの研究室は、毎年数回、速達郵便物を受け取っている。送られてきたアイスボックスの中には、数本のバイアルが入っている。中身は、米軍基地付近の試掘孔から採取された250mlほどの水だ。これらは何の変哲もない水に見えるが、フッ素化合物で汚染されている。フッ素化合物は、近年、世界中で懸念が広がっている合成物質で、環境や生体への影響が心配される濃度のフッ素化合物は、北は欧州から南はオーストラリアまで、さまざまな国の河川や土壌、人間の血流中で確認されている。フッ素化合物の中でも昔からあるものについては研究が行われ、使用が禁止されたものもあるが、フッ素を含む謎の化合物が新たに続々と出現している。現在、Higginsらをはじめとする複数の環境化学研究室は、米国国防総省から助成金を得て、こうした謎の化合物の化学構造解明に取り組んでいる。「これらは、環境汚染物質の中では特に複雑な構造を持っていると思います」とHiggins。
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翻訳:三枝小夜子
Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 5
DOI: 10.1038/ndigest.2019.190520
原文
Tainted water: the scientists tracing thousands of fluorinated chemicals in our environment- Nature (2019-02-07) | DOI: 10.1038/d41586-019-00441-1
- Xiaozhi Lim
- Xiaozhi Limは、米国マサチューセッツ州ナティック在住のフリーランスライター。
参考文献
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