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岩石と熱水によるアミノ酸合成

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 3 | doi : 10.1038/ndigest.2019.190330

原文:Nature (2018-12-06) | doi: 10.1038/d41586-018-07262-8 | The rocky road to biomolecules

John A. Baross

海底下深くで起こる岩石と熱水の化学反応によって、生物学的な要素なしに芳香族アミノ酸「トリプトファン」が合成されることが実証された。この過程は、地球上での生命の誕生に貢献した可能性がある。

図1 大西洋中央海嶺付近の海底にある熱水噴出域「ロストシティー」にそびえ立つ炭酸塩のチムニー。 | 拡大する

IFE, URI-IAO, UW, Lost City Science Party; NOAA/OAR/OER; The Lost City 2005 Expedition.

米国の詩人ロバート・フロストはかつて、『火と氷(Fire and Ice)』という作品の中で「地球上の生命を滅ぼすのは火なのか氷なのか」と思いを巡らせた。反対に、科学者たちは長い間、「地球上の生命が誕生したのは高温環境下なのか低温環境下なのか」と問い続けてきた。果たして、生命は高温の火山環境で生まれたのか?1,2それは、チャールズ・ダーウィンが友人ジョセフ・フッカーに宛てた書簡(go.nature.com/2q8w3n5参照)で思索したように、「小さな暖かい池」で始まったのか? あるいは、我々は氷をも含めた地球規模の環境を考える必要があるのか?3 それとも、生命が誕生するには海底の限られた環境だけで十分だったのか?1-5 今回、パリ地球物理学研究所(フランス)の地球微生物学者Bénédicte Ménezら6は、大西洋中央海嶺にほど近い「アトランティス岩体(Atlantis Massif)」の海底下深部から採取した岩石試料に、非生物的なアミノ酸合成の証拠を見いだし、Nature 2018年12月6日号59ページで報告した。アトランティス岩体は、その頂上に他とは全く性質の異なる熱水噴出孔が発見されたことで知られる。自然環境で非生物的なアミノ酸合成の証拠が示されたのはこれが初めてで、地球上での生命の起源を明らかにするための大きな手掛かりになると期待される。

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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