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我が子を遠くへ運ぶカエル

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 11 | doi : 10.1038/ndigest.2019.191108b

近くの水たまりをパスして父ガエルは遠くの池を目指す。

落ち葉の中でヤドクガエルの卵からオタマジャクシがかえると、それをじっと待っていた父親の背中によじ登る。そして父親は子どもたちを背中に乗せて水のある場所へ運ぶ。アマゾンの雨林にいる鮮やかな色の模様があるこの両生類を調べた最近の研究から、父ガエルは近くの水たまりをスキップしてわざわざ遠くまで運ぶ場合が多いことが分かった。貴重なエネルギーを使って、時には400mも移動する。「これは結構な移動距離です」と2019年7月のEvolutionary Ecologyに掲載された論文の責任著者であるスタンフォード大学(米国)の生物学者Andrius Pašukonisは言う。

Pašukonisらはペルーのミスジヤドクガエル7匹と仏領ギアナのアイゾメヤドクガエル11匹のお尻に小さなおむつのような無線発信器を取り付けた。この無線信号によって、のべ23回のカエルの移動を追い、オタマジャクシを背負った父親が水辺に差し掛かった際に、そのまま通り過ぎるか子どもを下ろすかを記録した。

最も遠くまで移動したのはミスジヤドクガエルで、最寄りの池が平均約52mの所にあったのに、平均で215mほど移動した。アイゾメヤドクガエルは平均約19mのところにある池をパスして、平均約39m移動した。森を離れ、浸水した牧草地まで我が子を運んだカエルも2匹いた。

エネルギーを余分に消費し捕食者に出合うリスクが高くなるにもかかわらず遠くの池まで我が子を運ぶのは、近親交配のリスクを下げ、資源に関する競争を減らすといった進化上の利点があるからだろうとPašukonisは言う。だが、何が動機となっているのかを厳密に突き止めるのは難しいと、ヤドクガエルの認知を研究しているノースカロライナ大学チャペルヒル校(米国)のSabrina Burmeister(この研究には加わっていない)は言う。

今回の発見は、生息地の減少に脅かされている両生類の保護に役立つ可能性がある。Burmeisterは、「生息範囲と生息地のタイプ、そこにすんでいる理由を知ることは、どんな保護活動にも非常に重要なことでしょう」と話す。

(翻訳:粟木瑞穂)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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