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深海底鉱物資源開発のジレンマ

太平洋の海山に生息する幽霊のようなカイメン。 海山は海底での鉱物資源開発に関心を持つ業者が 狙いを定める環境の1つである。 Credit: ZHANG JIANSONG/XINHUA/ALAMY

ハンブルク大学(ドイツ)のHjalmar Thielが初めて「クラリオン・クリッパートン海域(Clarion–Clipperton Zone;CCZ)」を訪れたのは、1972年のことだった。CCZとは、東太平洋のハワイからバハ・カリフォルニア半島にわたって東西に長く伸びる、クラリオン断裂帯とクリッパートン断裂帯に挟まれた広大な海域のことで、多くの有用元素が手付かずのまま大量に眠る、世界有数の海域である。水深約4000mの深海に広がる軟らかな泥で覆われた海底には、銅、ニッケル、マンガンなどの貴重な金属の鉱物が沈着したジャガイモ大の多金属団塊が、何兆個も転がっているのだ。

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翻訳:三枝小夜子

Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 10

DOI: 10.1038/ndigest.2019.191019

原文

Seabed mining is coming — bringing mineral riches and fears of epic extinctions
  • Nature (2019-07-25) | DOI: 10.1038/d41586-019-02242-y
  • Olive Heffernan
  • Olive Heffernanは、アイルランド・ダブリン在住の科学ジャーナリスト。