骨は、破壊・吸収と新生をバランスよく行うことで、構造と機能を保っている。これまで、こうした骨代謝のカギは「骨細胞由来の生理活性物質(RANKL)」から「破骨細胞にある受容体(RANK)」へのシグナル入力にあるとされてきた。今回、東京大学医学部附属病院 薬剤部の本間雅講師らは、従来とは逆向きのシグナル伝達、すなわち、破骨細胞のRANKがリガンドで、骨芽細胞のRANKLが受容体として機能する経路があることを明らかにした。さらに、この経路が骨芽細胞の分化成熟と骨形成に寄与していることも突き止め、骨粗しょう症の新たな創薬ターゲットになる可能性を見いだした。
–– 骨代謝のシグナル伝達について、創薬につながり得る成果を上げられました
本間: そのように期待されることが多いのですが、薬につなげるにはこれまでとは違った難しさがあると思っています。私が所属する薬剤部では、さまざまな診療科と連携しながら、がん、認知症、生活習慣病などの慢性疾患の治療標的研究を進めています。骨代謝異常も、その1つです。例えば、閉経後の女性に多い骨粗しょう症は、骨折をきっかけに全身の機能低下を招くことが少なくありません。
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Nature ダイジェスト Vol. 16 No. 1
DOI: 10.1038/ndigest.2019.190119