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28 June 2018
GPCRシグナル伝達の複雑な話
オピオイド系鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、多くの抗精神病薬など、全薬剤の約3分の1は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)1と呼ばれるタンパク質ファミリーに属する分子を標的としている。これは、GPCRがヒトのほぼ全ての生理的状況において重要であるという事実を反映しているだけでなく、さらに多くのGPCRが多数の疾患の薬剤標的として有望であることを示している。GPCRは細胞膜を貫通していて、神経伝達物質やホルモン、あるいは光などの多種多様な細胞外シグナルを受け取ると、細胞内のGタンパク質やシグナルトランスデューサー(細胞内へシグナルを伝達する因子)を活性化することで細胞応答に変換する。このたび、4種類のGPCR–Gタンパク質複合体の構造が解かれ、Nature 2018年6月28日号に報告された2–5。これらの成果は、GPCRが、Gi/oとして知られる抑制性Gタンパク質を選択的に活性化する仕組みを明らかにするのに役立ち、また、改良型GPCR標的薬の設計に手掛かりをもたらす可能性がある。
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翻訳:三谷祐貴子
Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 9
DOI: 10.1038/ndigest.2018.180933
原文
How the ubiquitous GPCR receptor family selectively activates signalling pathways- Nature (2018-06-28) | DOI: 10.1038/d41586-018-05503-4
- Michael J. Capper & Daniel Wacker
- Michael J. Capper & Daniel Wackerは、マウント・サイナイ医科大学アイカーン医学系大学院(米国ニューヨーク)に所属。
参考文献
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