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フロン排出量が増加している
2017年9月10日にNASAによって観測された南極上空のオゾン全量(紫や青はオゾン量が少ない)。21世紀半ばには1980年の水準までの回復が期待されたオゾン層だが、そのペースは予想以上に遅かった。
減少が予想される禁止化合物の大気中濃度を監視する研究は、面白みがないように思えるかもしれない。しかし、米国海洋大気庁(NOAA)の化学者Stephen A. Montzkaが率いた研究チームは、最も強力なオゾン層破壊物質の1つであるCFC11を長期にわたって観測し、予想外の結果をNature 2018年5月17日号413ページで報告した1。CFC11の大気中濃度が、既知の排出源と吸収源を基に行った予想よりもはるかに遅い速度で減少しているというのだ。この結果は、国際規則への違反となる新たな排出量の増加がなされていることを示している。
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翻訳:藤野正美
Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 8
DOI: 10.1038/ndigest.2018.180834
原文
Evidence of illegal emissions of ozone-depleting chemicals- Nature (2018-05-16) | DOI: 10.1038/d41586-018-05110-3
- Michaela I. Hegglin
- Michaela I. Hegglinは、レディング大学(英国)に所属。
参考文献
- Montzka, S. A. et al. Nature 557, 413–417 (2018).
- Lovelock, J. E., Maggs, R. J. & Wade, R. J. Nature 241, 194–196 (1973).
- Molina, M. J. & Rowland, F. S. Nature 249, 810–812 (1974).
- Farman, J. C., Gardiner, B. G. & Shanklin, J. D. Nature 315, 207–210 (1985).
- World Meteorological Organization. Scientific Assessment of Ozone Deple-tion: 2014 (WMO, 2014).
- Annan, K. A. We the Peoples: The Role of the United Nations in the Twenty-First Century (UN, 2000).
- Shepherd, T. G. et al. Nature Geosci. 7, 443–449 (2014).
- Brunner, D. et al. Atmos. Chem. Phys. 17, 10651–10674 (2017).