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運動不足と性格の変化

Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 7 | doi : 10.1038/ndigest.2018.180706a

不活発な暮らしを続けると協調性が乏しくなるようだ。

運動不足はかねて不健康と関係付けられてきたが、性格にも影響する可能性をうかがわせる証拠が増えている。以前の調査研究で、運動不足の人は4~10年後に誠実性などの性格特性が当初よりも低下する傾向が示されていた。最近、この種の解析としては過去最大規模の研究が行われ、追跡期間を延長した結果、両者の関連が確認された上、この関連が20年近く持続していることが示された。

モンペリエ大学(フランス)の心理学者のYannick Stephanが率いる研究チームは、2つの大規模調査研究データを統合してこの結論に達した。1つはウィスコンシン州の高校を1957年に卒業した人とその兄弟姉妹の一部を追跡した「ウィスコンシン縦断研究(WLS)」、もう1つは全米から参加者を募った「米国の中高年のストレスと健康に関する調査(MIDUS)」だ。どちらの調査研究も、1990年代の開始時に被験者に性格アンケートを実施し、運動習慣や健康状態に関する質問に答えてもらっていた。

誠実性、開放性、協調性、外向性の低下

合計約9000人の被験者は20年近く後に同じ質問を受けた。その結果、調査開始時の性格や健康状態の違いを考慮して補正しても、活動性の低下が大きいと答えた人ほど、誠実性と開放性、協調性、外向性の低下が平均して大きいことをStephanらは見いだした。これらの特性はいわゆる「ビッグファイブ(性格特性の主要5因子)」のうち4つで、5つ目の神経症的傾向についての関連は認められなかった。性格特性の変化は小さいものの、運動との関連性は比較的強かった。例えば病気の有無よりも運動量の方が性格の変化をより正確に予測した。この成果は2018年4月のJournal of Research in Personalityに報告された。

さまざまなメカニズムが関与していると考えられるが、相関は因果関係を証明しない。遺伝や以前の体験などの付加的な因子が運動量と性格の両方に影響している可能性もある。異文化の集団などで再現する必要もあるだろう。

それでも今回の新解析は、性格が人生を通して変化し得るという見方を裏付けており、性格が健康状態に関連することを示した研究とも一致する。「中高年に身体運動を勧める必要性をさらに強調するものです」とStephanは言う。

(翻訳:粟木瑞穂)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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