Editorial

特注ソフトウエアも査読対象に

Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 7 | doi : 10.1038/ndigest.2018.180737

原文:Nature (2018-03-08) | doi: 10.1038/d41586-018-02741-4 | Does your code stand up to scrutiny?

研究が特注ソフトウエアに支えられたものである場合、論文を投稿する際にソフトウエアのプログラムも提出して、査読を受けることを推奨します。

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科学者によって書かれたコンピューターコードを基盤とする研究とその結果を報告する論文が、多くの分野で増えています。そのため、こうした実行可能なアルゴリズムも査読対象とする論文の数を増やすべきだと、私たちは考えます。そこでNature タイトル誌では、研究の中心的な主張や主たる新規性にコンピューターコードが極めて重要な役割を果たしている論文を扱う場合には、コードの効果について、編集者が状況に応じて査読者に調査・報告を依頼します。

計算機科学は、他の研究分野と同様に、再現性の問題に取り組んでいます。その理由の1つは、特注のアルゴリズムやソフトウエアに基づいた研究結果を再現することが難しいと研究者が感じていることにあります。近年、データの処理と解析に用いた特注ソフトの詳細を公表することを論文著者に求めるケースが増えており、私たちの新方針は、そうした傾向に立脚し、コンピューターコードを用いる研究の信頼性を高めることを目指しています。

今回の新方針は、研究コミュニティー全体に及ぶ技術的変化に対応することを目指したものです。例えば、全てのNature関連誌では、論文著者は、読者から請求のあった資料、データ、コードおよび関連プロトコルを速やかに提供しなければならないことを既に決定しています。2014年には、「コードの利用可能性」の方針を採用し、研究の結論に非常に重要な意味を持つと見なされる特注コードを使用した全ての論文には、特注コードへのアクセスの可否とアクセス方法を示したステートメントが必ず添付されるようになりました。アクセスを制限する場合には、その理由が述べられています。

一部のジャーナルでは、これをさらに一歩進めて、新しいコードまたはソフトウエアを査読者がチェックし、論文とともに出版することを数年前から行っています。また、Nature MethodsNature Biotechnology、そして、最近ではNatureNature Neuroscienceなどでも、論文著者に対して、必要に応じてソースコードとインストールガイド、サンプルデータセットを、査読者がコードをチェックできる形で提供してチェックを受けることを推奨しています。

Natureは、論文著者が査読のためにコードをコンパイルして提出するのを手助けするため、投稿の手引きを改訂し(go.nature.com/2d2i80d)、コードとソフトウエアの投稿チェックリスト(go.nature.com/2h9ouaj)を用意しました。研究者に対しては、論文の投稿と出版のためにコードを共有できるようにしているGitHubなどのリポジトリーの利用を強く推奨します。

Natureの投稿の手引きでは改訂後、論文著者に対し、コンピュータープログラムへのアクセスに対する制限を全て開示することを求めています。商用アプリケーションなどであるため、論文著者が詳細を全て開示できない場合は、論文の出版のためにコードまたは数学アルゴリズムを紹介することとし、発表方法については編集者と査読者が共同で決定することとしました。この他にも、例えば、スーパーコンピューターなどの専用ハードウエアが必要な場合や、実行時間が非常に長いために査読者が十分にチェックを行えない場合も、例外的措置が実施されます。

科学の他の分野と同様に、計算機ツールの影響力は、その採用数によって決まります。また、オープンインプリメンテーションを実施することで、他の研究者が論文著者の技術を利用し、さらに発展させる可能性も増します。そのため、論文発表時にコードを公表するという考えを既に多くの研究者が持っています。実際、2017年にはNature MethodsNature Biotechnologyで、新しいコードまたはソフトウエアを基盤とする47編の論文が出版され、そのうちの約85%に査読のためのソースコードが含まれていました。私たちの新方針によっても、そうした人々が増えることを期待しています。

(翻訳:菊川要)

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Nature ダイジェスト Online edition: ISSN 2424-0702 Print edition: ISSN 2189-7778

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