Research Highlights
青いダイヤモンドの起源
一部のダイヤモンドは、微量のホウ素を含むため美しい青色を呈し、ブルーダイヤモンドと呼ばれている。ダイヤモンドは地球のマントルで形成されるが、ホウ素が多く存在するのは地殻である。では、ブルーダイヤモンドはどこでホウ素を取り込んだのだろう? このほど、米国宝石学会(ニューヨーク)のEvan M. Smithらが、この地球化学的疑問に答えを出した。この研究成果はNature 2018年8月2日号84ページで報告された。
Smithらは、ブルーダイヤモンド試料46個について、その内部に閉じ込められている鉱物を分析した。その結果、含有される鉱物集合体の特徴から、ブルーダイヤモンドが下部マントル(地表から深さ660km以上)という、ダイヤモンドの大半が形成される層より圧力の高い所で形成されたことが明らかになった。また、ブルーダイヤモンドが水を含んだ物質と相互作用して成長し、この物質が、ホウ素濃度の高い海洋リソスフェア(海の下の構造プレート)に由来することも示唆している。
今回の研究結果は、ブルーダイヤモンドが、これまで発見された中で最も深い場所で形成されたダイヤモンドであることを意味するだけではない。地表近くの海洋リソスフェアから下部マントルにまで及ぶ地球化学的経路が存在することを示す証拠であるとともに、地球の超深部に水循環経路が存在する可能性も示している。
翻訳:藤野正美
Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 11
DOI: 10.1038/ndigest.2018.181105
原文
The origin of blue diamonds- Nature (2018-08-01) | DOI: 10.1038/d41586-018-05830-6
- Andrew Mitchinson