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05 July 2018
アクチンタンパク質は核内でゲノムを守る
アクチンタンパク質は重合してフィラメントを作り、細胞質内で架橋して網目状の構造を形成する。この構造は、細胞の移動や分裂、細胞内輸送などの多くの基礎的な細胞過程を下支えしている。さらにアクチンは、細胞核内でも機能を果たしているという報告があるが、これについては議論が続いている1,2。この問題に結論が出ない理由の1つに、細胞質内のアクチンに影響を与えずに、核内のアクチンプールのみを変化させるのが難しいことが挙げられる。今回、この問題に対してこれまでで最も説得力のある証拠を示した2編の論文が、Nature 2018年7月5日号に掲載された3,4。これらの報告によれば、重合したアクチンはDNA損傷時の細胞核内で働き、ゲノム安定性の維持に必須であるという。
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翻訳:山崎泰豊
Nature ダイジェスト Vol. 15 No. 10
DOI: 10.1038/ndigest.2018.181030
原文
Actin proteins assemble to protect the genome- Nature (2018-07-05) | DOI: 10.1038/d41586-018-05339-y
- Vassilis Roukos
- Vassilis Roukosは、分子生物学研究所(ドイツ)に所属。
参考文献
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